■法的分離だけでは不完全

そもそも法的分離とは、電力会社の発電部門と送電部門とを法的に別会社とするものだが、共通の持株会社が両部門を所有することが可能なため、送電会社が資本関係にある発電会社を優遇する恐れが残る。つまり法的分離は発送電分離としてはいまだ不完全であり、資本関係のない「所有権分離」にまで踏み込まなければ、送配電部門の中立性は完全には担保されない。

ところが報告書では所有権分離に関しては「将来的検討課題」と述べるにとどまり、しかも閣議決定で法的分離に関する法案の提出が「15年を目指す」となったことで、その実施時期にあいまいさが漂う事態となった。

政府は旧来の電力システムの限界を認めた以上、行程表を前倒ししてでも改革を行う必要があるのではないか。環境エネルギー政策研究所の松原弘直主席研究員は「『15年を目指す』は、現在の電力会社が置かれた厳しい経営状況を考慮したものと考えられるが、むしろ政府が先導して電力システム改革をやり遂げるべき」と話している。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

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