コーヒー豆は油分を平均15%含み、バイオ燃料として適した素材。バイオマスと同じ要領でバイオガスを生み出すことができる。コジェネレーションでガスを使えば、熱と電力の両方を得ることができる。燃焼値は1キログラムあたり、25251キロジュールになるという。
コーヒーを一般家庭から回収するのはコストがかかりすぎるので、卒論では、カフェやレストラン、事務所などを対象とした。それでも年間11万トンになり、ドイツのバイオエネルギーの5%を占めることができるという。電力では0.04%にあたる。ケルンさんは「リスクのない再生可能な資源として、活用の意義がある」と考えている。
この理論をすでに実践しているのが、コーヒーメーカーのクラフトだ。インスタントコーヒーをつくる際に出る大量のコーヒー豆のかすを使って、工場の熱と電力をまかない、採算も取れているという。
ドイツの街のあちこちにはカフェがあり、濃いコーヒーやカプチーノを楽しむ姿が見られる。最近は、泡立てたたっぷりのミルクにエスプレッソを注いだラテマキアートが人気だ。コーヒーのかすは肥料やにおい消しとして利用できるほか、キノコ栽培時に成長を早める働きもある。
カフェ文化が浸透しているドイツで、毎日出すゴミがエネルギーに変わるなら、コーヒー党も本望だろう。いかに効率良くかすを回収できるかが課題だが、時代に即した起業アイデアとして注目されている。(オルタナ編集部=ハノーバー・田口理穂)