
現在、パリに4店舗、北フランスの首都リールに1店舗を構え、そのうち2店がフランチャイズショップだ。昨年からネット販売も開始した。
顧客プロフィールは、25~45才のアーバン文化人で、女性が75%を占める。自分の思想と行動の首尾一貫性を重視するという共通点がある。
昨年の売上高は前年比25%増。リンゴ氏は、この成功要因を「幅広い客層、魅力的な商品、徹底したプロフェッショナリズム」と説明する。
■ 長期失業者の社会復帰を支援
「アルタームンディ」は、フランスを代表するソーシャルビジネス「グループSOS」(1984 年創立、年商5億6千万ユーロ)の所属機関の一つとして、失業者のための職業訓練の場にもなっている。アルタームンディは、300ある登録機関のうち最も知名度が高い看板ブランドだ。
アルタームンディは、職業斡旋所登録者の中で最も難しいケースの長期失業者を最長2年間にわたって販売員として雇い、就職先が見つかるまで、さまざまな角度からバックアップしている。創立以来10年間で、20人がこのシステムによって社会復帰している。
一流のマネジメントスクールを優秀な成績で卒業したフランスのエリート層のリンゴ氏が、あえてフェアトレードの職業を選んだ理由を聞くと、「毎日仕事が終わって、自分のしていることが何かの役に立っていると思える満足感、そしてフェアトレードのイメージチェンジという挑戦に取り組めること」とさりげなく答える。ちなみに、年収は一般企業に比べると少し低いという。
かまえずに、徹底したプロフェッショナリズムによって、フェアトレードの発展を目指す。時代の進歩を感じさせる嬉しいサクセスストーリーだ。
◆ 菊地広子
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