「第一章 茶碗から都市まで」。幅広いジャンルにわたる製品をずらりと展示

展示を見ると、GKの活動はまさに多岐にわたっている。有機的なフォルムのバイク群(ヤマハ発動機)、シャープな成田エクスプレスE259系(東日本鉄道旅客)、洗いやすい炊飯器ECJ-XP10(三洋電機)、保温性がよく持ち運びやすい真空断熱タンブラーJCR-260(サーモス)など。ほか、独自方式の発電用風車(日立製作所)もある。昇降式車いすなど、ユニバーサル分野の取り組み、研究は人に寄り添うデザインの同社ならではだ。

展示の終盤近く、寺院内部のような観音像と曼荼羅図が出現し、圧倒される。この「道具寺道具村構想」には、榮久庵のデザイン哲学である「美によって、具は道を得て『道具』となり、人は道具を得てその道を悟る」が凝縮されている。道具は欲望も生み出し、心の荒廃と戦争の悲惨をも招く。ここには、節度を重視した、人と道具のより良い関係への祈りが込められている。

「道具寺道具村構想」インスタレーション風景 2006年 道具千手観音像、道具曼荼羅絵図などで構成

すぐれたデザインは簡素なまでに思想と意図を明確化する。そして、その核に人を生かす哲学があってこそ良きデザインとなる。日本のインダストリアルデザインの祖のメッセージをしっかり受け止めたい。

榮久庵憲司とGKの世界 鳳が翔く
2013年 7月6日(土)-9月1日(日)
10:00-18:00(入館は17:30まで) 休館日:月曜日
世田谷美術館(東京都世田谷区砧公園1-2)
TEL: 03-5777-8600(ハローダイヤル)
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html

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