
福島県内の除染廃棄物などを焼却処分するため、同県南部の鮫川(さめがわ)村に造られた仮設焼却炉が19日から本格稼働を始める。1キロ当たり8000ベクレル以上の高濃度汚染物を燃やす施設だが、不透明な建設の経緯などから住民が強く反発。初日も稼働中止を求める反対運動が展開されている。(オルタナ編集委員=関口威人)
人口4000人弱の鮫川村は東京電力福島第一原発から直線距離で60キロ超、第二原発から約50キロ。環境省が仮設焼却炉を設置したのは、さらに村の南端の山あい。隣接するいわき市や塙(はなわ)町、茨城県北茨城市にとっては貴重な水源地に位置する。
ここに3年間で7億円以上の予算が投じられ、汚染された牧草や稲わら、牛ふんなどの農林業系副産物と除染廃棄物が燃やされる計画だ。
放射性物質汚染対処特措法によって、国が処理責任を負う8000ベクレル超の「指定廃棄物」はすでに大熊町や飯舘村の仮設焼却炉で試験的に燃やされている。鮫川村では処理能力を4-6倍に高めた焼却炉を連続的に稼働することで、廃棄物の容量を減らす「減容化」の効果を確かめ、滞っている除染廃棄物の処理を一気に進めようという狙いだ。
しかし、鮫川村はもともと汚染レベルの低い地域。建設計画は水面下で進められ、村民への説明会は着工後に開かれた。