[CSR]ユニ・チャーム、インドの女性1万人に初潮教育

インドで少女たちに提供された初潮教育の現場
インドで少女たちに提供された初潮教育の現場

生理用品の製造販売を開始してから50年以上が経つユニ・チャームは、2013年1月から国際協力機構(JICA)や現地で女性支援活動を行っているNGOディーパラヤの協力を得て、インド・ハリアナ州の農村部で少女と母親向けに初潮教育を開始し、受益者が1万人を突破した。(フリーライター・今一生)

同社CSR部・吉田広隆氏によると、現地では日本で売っているような生理用品が普及しておらず、衛生的な暮らしができていなかったという。

「農村部では古い布や衣類を利用していたり、生理期間中はモレるのではないかという不安から外出を控えたり、学校へ通えないなどの不便がありました。生理用品を使用しないのは、生理のメカニズムや生理用品の存在自体を知らない女性が多くいるから。そこで、『思春期の身体の変化、生理および生理用品に対する正しい知識を提供しませんか』と弊社から初潮教育の実施を提案させていただき、教育内容を提供し、現地のNGOが先生を務める形で始めました」

同社は、健康寿命を延伸し、「誰もがいつまでも自分らしく暮らすことができる社会=ノーマライゼーション」を実現することを目指して「本業を通じて社会に貢献する」というCSR活動を国内外で実践している。

2012年から、国連開発計画(UNDP)が主導する国連ミレニアム開発目標をふまえてビジネス行動要請(BCtA)認証を受けた活動を開始した。

今年4月24日に発表された第2回「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」では、企業部門賞を受賞した。これは、イスラムの戒律が厳しく女性の社会進出が難しいサウジアラビアで、数十人の女性だけが働く工場を立ち上げたことが評価されたものだ。

「女性専用工場として、まったく男性と接触する機会がないオペレーションにしました。イスラム教信者として祈れる部屋もあり、資材や完成品を受け渡す際も顔を見せないでできるように設計しました。サウジアラビアで女性専用工場は、日本企業では初めてだと思います。女性の就業機会がなかなかない国なので、働いている女性たちから喜びの声が報告されており、家族の方も応援してくれています」(吉田氏)

外出の自由度が拡張すれば、女性の社会進出の機運は高まる。どこの国でも、女性を雇用できる機会の創出が企業に求められている。
◆ユニ・チャームの公式サイト(CSR・環境 アジアの生活者の負担軽減)
http://www.unicharm.co.jp/csr-eco/special01/index.html

editor

オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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