[書評:わたしは13歳、学校に行けずに花嫁になる。]女性差別が世界の未来を奪う

■日本は男女平等「後進国」!?

ところで、女性と女の子のエンパワーメントは「貧しい国」特有の課題なのだろうか。学校に通えない事や早すぎる結婚などの背景に、貧困があるのは事実だ。一見、日本には当てはまらない問題のように見えなくもない。

しかし現実には、日本は世界の中でも男女格差(ジェンダーギャップ)が激しい。国会議員に占める女性の割合はわずか8%。マララさんの母国、パキスタンは同20%だ。命がけで教育の権利を訴えなければならない国にも遠く及ばない。

「将来の稼ぎ手は男の子で、女の子は結婚して家庭に収まるのが幸せな生き方」。高度経済成長期以来の家庭モデルを今もなぞる形で、女性と女の子は世の中から日々、そうしたメッセージを受け取っている(124頁)。男女の役割の固定化は、この日本でも強固に形成されている。

さらに男女格差は、実は女性だけでなく男性も苦しめる。男性への「強くあれ」「稼いで一人前」という社会規範は、女性への偏見と表裏一体だ。本書は、女性と女の子への差別が「貧しい国」特有の問題でなければ、女性だけの問題でもないということに気づかせてくれる。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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