沖縄県庁(那覇市)前の県民広場からは毎朝、辺野古行きのバスが発車する。辺野古の米海兵隊新基地建設に反対する「島ぐるみ会議」が運行。米海兵隊キャンプ・シュワブのゲート前での抗議行動へと向かう乗客の中に、地元の企業グループ「金秀(かねひで)」の従業員らの姿があった。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■グループ内で持ち回り参加
26日朝、県庁前を出るバスには県内外から約40人が乗り込んだが、この内、金秀の従業員は10人。同グループは建設業や製造業、小売業などを手がけ、県内企業としては有数の規模を持つ。グループ内で毎月当番を決め、ゲート前への抗議に参加を続けているという。
「沖縄でも珍しい。今までになかったこと」。企業が基地建設反対運動に関わることについて、この日参加した同社従業員の一人は話す。
昨年7月に宜野湾市で開かれた「島ぐるみ会議」の結成大会では、金秀の胡屋守将(ごや・もりまさ)会長、観光業を営む「かりゆしグループ」の平良朝敬(たいら・ちょうけい)会長が登壇。両氏はともに共同代表に名を連ねる。また、辺野古新基地建設撤回を目指して今年4月に発足した「辺野古基金」の共同代表にも胡屋氏や平良氏、沖縄ハム総合食品の長濱徳松会長ら経済人が加わった。
米軍基地をめぐる「島ぐるみ闘争」は過去にもあったが、辺野古の基地建設をめぐっては経済界をも巻き込む形で「島ぐるみ」の運動が組まれているのだ。ただし、個々の従業員には気持ちの温度差もある。個人としてもゲート前に駆けつけるか、と尋ねると別の従業員は「周りの目もあり、(反対の意思を)表に出しにくい所もある」と話した。