記事のポイント
- トランプ政権がハーバード大学の留学生の受け入れ資格を停止、法廷闘争へ
- 政府による「反DEI」政策が大学と学生に深刻な影響を及ぼしている
- 現役・卒業生は、自由の侵害と学問の政治利用に強い懸念を表明した
米トランプ大統領は5月28日、ハーバード大学の外国人留学生の割合を「15%ほどに制限するべきだ」と主張した。同大学に在籍する約6800人の留学生に転校か国外退去を迫るこの措置は、政府が進める「反DEI(多様性・公平性・包括性)」方針の延長にある。この問題は、単なる一つの大学の問題にとどまらず、民主主義社会における知と対話の場の存続に関わる深刻な問題だ。(ニューヨーク在住・サステナビリティライター=古市裕子)

米国土安全保障省のクリスティ・ノーム長官は5月22日、ハーバード大学が「反ユダヤ主義を助長し、親ハマス的行動を容認し、中国共産党と連携している」と指摘し、外国人留学生の受け入れ資格を取り消した処分を正当化した。
加えて、連邦政府が抗議デモに参加した留学生らに関する情報の提供を、大学側に求めたが、大学側が情報の提供を拒否したことも問題視した。
一方で大学側は「違法かつ報復的」と強く反発し、国際社会の学術交流への悪影響を訴え、法的手段に訴える構えを見せている。
こうした中、現地に在学・在住する学生たちはそれぞれの立場から今回の動きに声を上げた。
■「反知性主義」が留学生の学びを奪う
■「大学キャンパスは分断の最前線に」
■研究資金の凍結など、他大学にも波及か