記事のポイント
- 世界的に生物多様性の重要性が周知されてから30年以上が過ぎた
- 30年で世界の生物多様性は失われこそすれ、改善した例はわずかだ
- 実は短期的に大きなリスクになり得るのは「生物多様性の喪失」だ
1992年のリオ地球サミットで「生物多様性条約」が採択され、世界的に生物多様性の重要性が周知されてから30年以上が経った。この30年間で世界の生物多様性は失われこそすれ、改善した例はごくわずかにとどまる。気候変動こそが人類の未来を脅かす最大要因と考える人が多いが、実は短期的に大きなリスクになり得るのは「生物多様性の喪失」なのだ。(オルタナ総研所長=町井則雄)

公益財団法人旭硝子財団が全国各地の10~60代の男女1092人に対して実施した「第5回生活者の環境意識調査」では、「生物多様性が失われつつあることを、あなたの身の回りで感じることはありますか」という問いに対し、約半数の47.7%が感じると回答した。
一方、同調査の日本国内の環境問題で危機的に思う項目として「気候変動」が1位の45.5%だったのに対し、「生物多様性」はわずか1.6%に過ぎなかった。
危機感としては気候変動よりもかなり薄いという結果だ。世の中的には気候変動こそが人類の未来を脅かす最大要因であると考えている人が多いということかもしれない。
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