スターバックス、コーヒーの豆かすを壁材に: 自然の「温もり」

記事のポイント


  1. スタバは店舗から出る「コーヒーの豆かす」を店舗デザインにも生かす
  2. たい肥や飼料だけでなく、床材や壁材にも活用。他国から評価されている
  3. 2030年までにコーヒーの豆かすのリサイクル率100%をめざす

スターバックスは「温もり」を感じる店内内装を心掛けているが、一役買っているのが、コーヒーの豆かすだ。同社はコーヒーの抽出後に出る豆かすの再利用に力を入れる。たい肥や飼料にしたり、店の床材や壁材にも活用した。将来世代とのつながりを作り、サステナブルなブランドづくりにも生かした。(オルタナ副編集長=池田 真隆)

名古屋のヒルズウォーク徳重ガーデンズ店の壁材には豆かすを使った

スターバックスは、「リソースポジティブカンパニー」をめざし、2030年までのグローバル目標を掲げた。CO2排出量、水使用量、廃棄物量の「50%削減」がそうだ。

スターバックスは約80カ国で展開するが、廃棄物量を削減する取り組みに関しては、日本の豆かすリサイクル技術が他国から「先進的」だと評価されている。

豆かすの廃棄量、1店舗当たり毎日約12キロ

国内店舗から出る食品廃棄物のうち、約7割を占めるのがコーヒーを抽出した後に残る「豆かす」だ。全国に1917店舗あるが、1店舗当たりの豆かすの廃棄量は約12キロ/日だ。

豆かすをドリンクや店舗の内装に生かす

同社は、豆かすを廃棄物として捨てるのではなく、資源として活用することができないかと2008年ごろから考え始めた。まず行ったのが、豆かすの成分の研究だ。

豆かすはカフェインを含むため、そのまま使うと植物の生育を抑制してしまう。だが、発酵することでたい肥になる。加えて、牛の飼料としても使える。

こうして、豆かすを、たい肥や牛の飼料にリサイクルすることを決めた。これまでは、コーヒーを抽出した後に捨てていたが、フードやドリンクになって店舗に「戻る」仕組みだ。

「根菜チキン サラダラップ」のトルティーヤに使った抹茶は、豆かすをリサイクルしたたい肥を使って育てた。一部店舗だが、サンドウィッチのレタスも豆かすからできたたい肥で栽培した。ラテなどで使うミルクは、豆かすを食べた牛のものだ。

この豆かすのリサイクル技術を2014年に確立すると、10年でこの技術を導入した店舗は約800店舗に増えた。2030年までに全店舗で導入し、豆かすのリサイクル率100%をめざす。

床・壁・棚に加えて「トレー」にも
豆かすで野菜作り、将来世代とつながる
リサイクルのカギは、パートナーの「共感」

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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