記事のポイント
- サントリーがグリーン水素市場の拡大を狙い投資を強化する
- 今秋には国内最大規模のグリーン水素製造設備を山梨県で稼働させる
- 2027年以降にはグリーン水素の販売にも取り組み、市場の拡大を狙う
サントリーホールディングスが「グリーン水素」の市場拡大を狙い、投資を強化する。世界で利用されている水素の99%は化石燃料が原料の「グレー水素」で、製造時に大量のCO2が排出される。再生可能エネルギー由来のグリーン水素の割合はまだ1%未満だが、製造を強化し、2027年以降には販売も行う。同社のサステナ担当役員がその戦略を語った。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

「サントリーとしては、グリーン水素の地産地消にこだわりながら、普及を狙いたい」――。こう話したのは、同社のサステナビリティ担当役員である藤原正明・常務執行役員サステナビリティ経営推進本部長だ。
グリーン水素とは、再生可能エネルギーを活用して製造した水素を指す。水素は「水素ボイラー」としての利用や酸素と混ぜて化学反応を起こして電気を作る「燃料電池」としての利用ができる。その特徴は、燃やしてもCO2を排出しないことだ。
水素はエネルギーと水からつくるので、そのエネルギーが再生可能エネルギー由来だと製造時もCO2を排出しない。これを、「グリーン水素」と呼ぶ。

出典:サントリーホールディングス
今後、政府は、企業が排出する炭素に価格付けを行う「カーボンプライシング」を強化していく。2026年度から、年間で排出するCO2が10万トン以上の企業に排出量取引制度への参加を義務付ける。EUなどが先行する「キャップ&トレード」方式を導入する予定だ。
2028年度からは化石燃料を輸入・販売する企業(電力会社やガス会社、商社など)に対し、「炭素賦課金」を課す方針だ。
カーボンプライシングが本格化することで、水素の需要は伸びていくことが予測されるが、市場に出回る水素の内、グリーン水素は1%未満だ。
■グレー水素は製造時に大量のCO2を排出する
■今秋に国内最大規模の水素製造設備を稼働へ
■2027年からはグリーン水素の販売も
■「グリーン水素の地産地消にこだわりたい」
■事業構造の変革は「サステナ活動が軸になる」