ネスカフェが再生農業での調達目標を達成、1年前倒しで

記事のポイント


  1. ネスカフェはこのほど再生農業関連の中間目標を1年前倒しで達成した
  2. 中間目標を1年前倒しで達成し、契約農家の再生農業への移行を後押しする
  3. 昨年、コーヒー豆の国際価格は記録的に高騰し、供給量も減っていた

ネスレはこのほど、同社が展開する世界最大のコーヒーブランド「ネスカフェ」が掲げた再生農業関連の目標を1年前倒しで達成したと発表した。同社は2025年までにネスカフェで調達するコーヒー豆のうち、20%を再生農業で育てた豆に切り替える目標を掲げていたが、この目標を2024年に達成した形だ。再生農業とは、化学肥料や農薬使用量を減らし、土壌の健全性や生物多様性などの保護・再生につなげる栽培方法を指す。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

昨年、コーヒー豆の国際価格は高騰し、供給量も減った

ネスレは6月11日、「ネスカフェ プラン 2030」の進捗を公表した。同プランは、ネスレが2022年に掲げた計画だ。2030年までに10億スイスフラン(約1700億円)を投じて、契約農家の再生農業への移行を後押しする。

再生農業とは、土壌の健全性と肥沃度を高めて水資源や生物多様性の保護・再生につなげる栽培方法を指す。健全な土壌が育つと気候変動の影響を受けにくくなり、収穫量にも寄与する。

昨年、気候変動の影響によって、コーヒー豆の国際価格は記録的な高値となり、供給量も減った。こうした状況を踏まえ、より強靭で安定したコーヒーの供給体制を築くことの重要性が増している。ネスレが、同プランを作成した背景にはこうした危機感がある。

20万人以上の農家に再生農業への移行を後押し

同プランの一環として、2024年には1400人以上の農学者らが、16カ国20万人以上の契約農家に対して、再生農業に関する研修を実施した。研修では土壌浸食や流出、有機物の管理、施肥の最適化などへの対応を教えた。

同プランでは、2025年までの中間目標と、2030年目標を掲げる。2025年までの中間目標の一つに、調達したコーヒー豆のうち、20%を再生農業で育てた豆に切り替えるという目標を設定していた。

報告書では、2024年にネスカフェで調達したコーヒー豆のうち、32%が再生農業で育てた豆であったことを公表し、この中間目標を1年前倒しで達成した。

2030年目標として、調達するコーヒー豆のうち、50%を再生農業に切り替え、温室効果ガス(GHG)排出量の50%削減を目指す。

ネスレのコーヒー ストラテジック ビジネス ユニットで責任者を務めるアクセル・トゥゼ氏は、「再生農業はネスカフェ プランの中核をなすものであり、強靭で安定したコーヒーの供給体制の構築に不可欠。この流れをさらに加速させたい」と強調した。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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