大手食品卸がNPOと連携、フェアトレードコーヒーの調達1.5倍へ

記事のポイント


  1. 大手食品卸のトーホーがフェアトレードコーヒーの調達を強化する
  2. 認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンとタッグを組んだ
  3. 同社は2035年1月期までにフェアトレード認証コーヒーの調達量を1.5倍へ

業務用食品卸売企業であるトーホーは6月23日、NPOと連携し、国際フェアトレード認証コーヒーの調達を強化していくと公表した。同社は、認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(東京・中央)とフェアトレード戦略的パートナーシップを締結した。2035年1月期までに国際フェアトレード認証コーヒーの調達量を1.5倍(2025年1月期対比)に増やすことを目指す。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

トーホーはフェアトレードと有機のダブル認証コーヒーを取り扱う

トーホーがフェアトレード・ラベル・ジャパンとパートナーシップを構築した背景には、「コーヒーの2050年問題」がある。2050年には、気候変動の影響で、アラビカ種のコーヒー栽培に適した土地が最大で50%減ると予測されている。

世界の人口は増えていき、コーヒーの消費用は増えるが、その需要に供給が追い付かなくなる。これまでと同じ価格・品質のコーヒーを飲み続けられない可能性が濃厚だ。

このコーヒーの2050年問題の解決を図るため、トーホーとフェアトレード・ラベル・ジャパンはパートナーシップを構築した。開発途上国の生産者支援と気候変動対策を行う。具体的な目標として、2035年1月期までに国際フェアトレード認証コーヒーの調達量を1.5倍(2025年1月期対比)に増やすことを掲げた。

「フェアトレードは企業価値の向上にもつながる」

フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」を指す言葉だ。通常の取引では、市場価格の情報や販売先の選択肢の欠如によって、末端の小規模生産者は、安く買い叩かれてしまうことが多い。

その結果、生産者の生活水準の低下、コスト削減を目的とした児童労働・強制労働、過剰な農薬による環境破壊や生産者の健康被害などの問題が引き起こされている。フェアトレードは、人と環境に配慮して生産されたものを適正な価格で取引する。持続可能な生産と生活向上を支援する仕組みでもある。

フェアトレードによる取引では、適正価格の保証・プレミアムの支払い、児童労働・強制労働の禁止、環境に配慮した生産などが条件だ。

フェアトレード・ラベル・ジャパンの潮崎真惟子・事務局長は、「トーホーがフェアトレード認証商品の調達量拡大にコミットしたことは、日本の外食産業におけるサステナビリティ推進の重要な一歩」と話した。

フェアトレードの調達を強化することで、企業価値の向上にもつながると指摘した。「価格が優先されやすい業界において、持続可能性を踏まえたフェアトレード調達をビジネス戦略に組み込むことは、社会課題の根本原因からの解決を目指す大変重要な取組みだ。ESGの観点では企業価値向上やブランド向上にもつながる」。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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