ヤンマー: 農家の悩みと向き合い、明日の農地を守っていく

記事のポイント


  1. ヤンマーは創業以来、農家の仕事を楽にするソリューションを生み出してきた
  2. 2026年からは、未来の農地を守るプロジェクトを本格始動す
  3. 農福連携にも詳しい白藤万理子社内取締役に話を聞いた

1912年の創業以来、「農家の方々の労働の負担を減らしたい」との創業の思いを受け継ぎ、いまや売上高1兆円超の企業に成長したヤンマー。同社は2026年から、環境再生型農業や営農型太陽光発電などで未来の農地を守るプロジェクトを始動する。農福連携の現場にも詳しい、白藤万理子社内取締役に話を聞いた。(聞き手=オルタナ輪番編集長・北村佳代子、吉田広子)

「未来の世代にまでより良い社会を残していける会社でありたい」と語る白藤取締役
写真:宮田昌彦

白藤万理子 (しらふじ・まりこ)
ヤンマーホールディングス 取締役 サステナビリティ推進部長
2000年にヤンマー初の女性事務系総合職として入社。ヤンマー農機、ヤンマーエネルギーシステムなどを経て2020年に特例子会社のヤンマーシンビオシス代表取締役社長に就任。2024年6月から、ヤンマーホールディングス取締役兼サステナビリティ推進部長。産休、育休後の職場復帰、育児時短勤務など、女性活躍のための制度を活用し、ヤンマー第1号となる事例をつくってきた。

■第1次産業で働く方々の仕事を楽にしたい

――気候変動は第1次産業に大きな影響を与えています。ヤンマーでは脱炭素に向けてどのような取り組みを進めていますか。

白藤:当社は、「農家の方々を楽にしたい」という思いで創業し、創業者がディーゼルエンジンの小型化に信念を持って取り組んだ会社です。小型・大型のエンジン、農業機械、建設機械、漁船やプレジャーボート、エネルギーシステム事業など、いずれも第1次産業に深く関わる事業フィールドで事業展開をしています。

一方、私たちは、ディーゼルエンジンという化石燃料を使用する製品によって、地球環境に少なからず影響を与えてきた存在でもあると認識しています。気候変動が進む中、企業として環境に対する責任をしっかり果たすために、「YANMAR GREEN CHALLENGE 2050」を策定し、2050年に「環境負荷フリー」、「GHG(温室効果ガス)フリー」の企業を目指して取り組みを進めています。

スコープ1と2では2030年のカーボンニュートラルを目指していますが、課題はスコープ3の排出削減です。特にカテゴリー11の「販売した製品の使用」による排出は、当社全体の排出量の9割以上を占めます。少しでも化石燃料を減らして代替燃料に置き換え、各業界のお客様ニーズに確実に応えながら、時代に合ったテクノロジーソリューションで、脱炭素化を進めていく考えです。

私たちは日々、食料生産とエネルギー変換の分野で、新しい豊かさをつくることを目指して活動しています。この新しい豊かさとは、人の豊かさと自然の豊かさの両立です。この2つが両立できるところに知恵を絞っていく。その知恵こそが、ヤンマーのテクノロジーです。

私達が提供する製品群で、お客様の環境負荷低減に貢献し、気候変動課題に対応する。それと同時に、特に日本の労働力不足の解消や、第1次産業の過酷な作業環境で働く方々に寄り添えるよう、電動化、省エネ、自動化など、新しいソリューションの提供に力を入れています。

技術ソリューションで農業をよりサステナブルに
農業を通じて自立・活躍できる人材を育てたい

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北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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