児童労働の割合は子どもの13人に1人、背景に気候変動も

記事のポイント


  1. ILOとユニセフによると、世界の子どもの13人に1人が児童労働に従事している
  2. 気候変動が学校教育の中断や貧困増加を招き、児童労働を誘発する要因となっている
  3. 児童労働を予防していくためには現地の複合的な課題を理解したアプローチが必要に

ILO(国際労働機関)とユニセフが2025年6月に発表した統計によれば、24年時点で児童労働に従事する子どもは世界で約1億3800万人、世界の子どもの13人に1人に上る。うち約540万人が有害労働に分類され、健康・発達を脅かされている。(認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長=潮崎 真惟子)

業種別では農業が61%と最も多く、続いてサービス業(27%)、製造業など(13%)と続く。16年と比べて全体数は減少したものの、SDGsの目標8.7に掲げられた25年までの児童労働ゼロ目標達成は絶望的となった。30年までに児童労働を撤廃するには現状のペースでは11倍の速度で進展させなければならないと指摘される。

実は児童労働撤廃を様々な側面からさらに難しくさせているのが、気候変動だ。気候災害による学校閉鎖や学業中断の被害の大きさや、児童労働を誘発する可能性が、ユニセフの発表により明らかになった。

24年だけで世界の少なくとも2億4200万人の子どもが洪水や干ばつ、熱波といった異常気象によって学校教育の中断を余儀なくされたという。これは世界の学校に通う子どもの7人に1人に上る。

最大の要因は熱波であり、気温40℃を超える猛暑が数週間続いたことで、24年4月だけで1億1800万人超の子どもが学校に通えなくなった。世界の学校施設の異常気象への備えが不足していることも課題だ。

■複合的課題への対応も

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shiozaki

潮崎 真惟子(認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長)

デロイト、オウルズコンサルティングにて企業・政府・NPOに対する事業戦略やサステナビリティ分野のコンサルティングや人権デュー・ディリジェンス事業に従事し、2021年より現職。「児童労働白書2020」執筆

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