記事のポイント
- 世界ではBEV(バッテリーEV)の普及スピードが鈍化しているという報道が見られる
- しかし、これは内燃機関車が長期的に復権することを意味しない
- 2026年はEV市場の踊り場を冷静に捉え直す段階に入った
近年、世界ではBEV(バッテリーEV)の普及スピードが鈍化しているという報道が見られる。しかし、これは内燃機関車が長期的に復権することを意味しない。中国市場での急速なEVシフトに刺激され、欧州メーカーは短期間にEVへ大きく舵を切ったが、その多くは補助金依存のビジネスモデルであり、収益悪化を招いている。結果として各メーカーは電動化計画の見直しを進め、EV市場の踊り場を冷静に捉え直す段階へ入った。 (自動車ジャーナリスト=清水和夫)
その中で、トヨタが当初から進めてきた「マルチパスウェイ戦略」は妥当性を増している。EV一本化ではなく、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、水素エンジンなど多様な電動化手段を並行して開発する姿勢である。
一方、筆者は、50年以上エンジン車でモータースポーツに関わってきたが、ここにきて「EV2.0」を定義し、新しい価値を再評価している。
筆者がEVに興味を持つ理由は、近年の技術進化にある。従来のEVは充電時間の長さや寒冷地での性能低下など課題が多く、「使いにくいクルマ」という印象が強かった。
しかし現在はリン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリーの普及により、安全性向上とコスト低減が進んだ。また、バッテリーを床下に配置することで低重心化が実現し、キャビンの広さや静粛性も向上するなど、パッケージング面で大きな進化が見られた。
■「電動化」も「電脳化」も進む

