記事のポイント
- 経産省が2026年度から本格化する排出量取引の上下限価格の水準案を示した
- 水準案では上限価格を4300円/トンに、下限価格を1700円/トンに設定した
- 2030年度には上限価格を4840円/トンまで引き上げる方針だ
経産省は2026年4月から本格化する排出量取引の上下限価格の水準案を公表した。水準案では、2026年度の下限価格を1700円/トン、上限価格を4300円/トンに設定した。上下限どちらも年度ごとに価格を引き上げていき、2030年度には、上限価格を4840円/トン、下限価格を1913円/トンまで引き上げる方針を示した。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

経産省は2025年12月19日、7回目の産業構造審議会(イノベーション・環境分科会 排出量取引制度小委員会)を開いた。同審議会では、2026年度から一部の事業者に参加を義務付ける排出量取引の取引価格の上下限価格について議論した。
排出量取引は排出枠を企業間で売買する制度だ。取引価格については市場メカニズムを働かせることで、脱炭素投資に経済合理性を持たせることを狙う。
この制度は市場メカニズムの働きが重要だが、景気の低迷や予測不能な事態に備え、経産省としては上下限価格を設定する。上下限価格を設定して、企業が脱炭素技術に投資するための予見可能性を高める。
上限価格は、欧州の排出枠価格、下限価格は省エネJクレジット価格などを参考に決めた。省エネJクレジット価格は排出量取引の義務化に備え、2025年4月ごろから6000円弱まで上がっているが、価格高騰前の平均相場(約1620円)を参考にした。欧州の排出枠価格は、1万6000円程度を推移しているが、第2フェーズ(2008年~2012年)の価格(4000円以下)を参考にした。
経産省が示した2026年度の下限価格の水準案は1700円/トン、上限価格は4300円/トンだった。上下限どちらも年度ごとに価格を引き上げていき、2030年度には、下限価格を1913円/トン、上限価格を4840円/トンまで引き上げる方針だ。
経産省では2023年度から排出量取引(GX-ETS)を行ってきたが、欧州などが行う「キャップ&トレード」方式ではなく、企業の自主性に任せたものだった。
経産省は脱炭素投資を促すため、2026年度から行う排出量取引を「第2フェーズ」と位置付け、年間のCO2排出量が10万トン以上の事業者に参加を義務付ける。対象となる事業者は電力や鉄鋼など300~400社になる見込みだ。
■1万円まで上がらないと「採算性は取れない」

