「AI開発」で温室効果ガスが倍増する矛盾

記事のポイント


  1. 米グーグルのGHG排出量が19年比で48%増加したことが分かった
  2. AIの訓練などで、データセンターの電力消費が増えたことが影響した
  3. 世界でAI開発が加速しているが、環境への影響はどうなるのか

米グーグルがこのほど、環境報告書2024年版を公表し、温室効果ガス(GHG)排出量が19年比で48%増加したことが分かった。生成AI(人工知能)の訓練などで、データセンターの電力消費が増えた。世界でAI開発が加速しているが、環境への影響はどうなるのか。(オルタナ副編集長=吉田広子)

AIの研究開発は1950年代に始まり、1964年に初めて自然言語処理プログラム「イライザ」が誕生した。その後、進展と停滞を繰り返しながら、研究開発が進んだ。

2000年代に入ると、ビッグデータからAI自身が知識を獲得する「機械学習」、AI自ら学習する「ディープラーニング(深層学習)」が発展し、実用化が始まった。

2022年11月に、米オープンAI社が開発したテキスト生成AI「チャットGPT」が公開されると、個人レベルでの利用が世界的に広まった。

最近では、米グーグルがAIアシスタント「Gemini(ジェミニ)」をビジネスアプリに統合したほか、米アップルもアイフォンへの生成AI搭載を表明し、AI利用は加速度的に進む。

■大規模言語モデルの訓練で自動車5台分のCO2

だが、AIの訓練には、大量のデータを読み込む必要があり、大量の電力を消費する。米マサチューセッツ工科大学の研究(2019年)によると、大規模言語モデルの1つの訓練に伴うCO2排出量は、自動車5台分の製造から廃車に至るまでのCO2排出量に相当するという。

国際エネルギー機関(IEA)は、最新の報告書(2024年)で、AI開発などに伴い、2022年から2026年までにデータセンターの電力消費は倍増し、1000 テラワット時以上に達すると予測した。これは、日本の年間総電力消費量に相当する莫大な量だ。

(この続きは)
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yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #脱炭素

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