記事のポイント
- 米フロリダ州で「反ESG法」が成立するなど、米国各地で反ESG運動が起きている
- マーク・クレイマー氏は「反ESG運動は化石燃料産業の最後のあがき」と語る
- 受託者責任に反するため、いずれ失敗するだろうと話す
ESG投資を制限する「反ESG法」がフロリダ州で成立するなど、米国各地で反ESG運動が起きている。だが、マイケル・ポーター教授とともにCSV(共通価値の創造)を提唱したマーク・クレイマー氏は、「反ESG運動は、国民的な運動ではなく、化石燃料産業の最後のあがきに過ぎない」と語る。(オルタナ副編集長=吉田広子)
・マーク・クレイマー(Mark R. Kramer)
FSG(Foundation Strategy Group)共同創業者兼マネージング・ディレクター。1956年生まれ。2011年、米ハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・ポーター教授とともに論文「Creating Shared Value」(経済的価値と社会的価値を同時実現する共通価値の戦略)を発表、マッキンゼー賞を受賞した。2017年から2023年7月まで、米ハーバード・ビジネス・スクールの上級講師。
――米国における反ESGの動きは、CSVやESG投資の妨げになると思いますか。
米国の反ESG運動は現実に起きていますが、化石燃料産業から100%資金提供を受けており、数百万人が賛同するような国民的な運動ではありません。何百万人もの人々が支持しているような一般的な運動ではないのです。
反ESGは、政府の行動に影響を与えるための、非常に的を絞った、資金力のある政治的キャンペーンです。そして、多くの点で自滅的です。
■「国民に広く支持されるような運動ではない」
■受託者責任に反しているので、「法廷で争われることになる」