日経エコロジーが11月13日に「魚から考える日本の挑戦 ~2020年に向けた持続可能な調達と食~」と題した公開シンポジウムを開催した。ロンドン、リオ大会の流れをくむサステナブルな東京オリンピックに向けて、国内外の関係者など約500人が参加。世界の水産資源が減少する中、魚の調達について話し合った。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)
海外からは英米カナダの水産・小売大手、米モントレー水族館など6人が登壇した。西カナダの水産商社大手アルビオン水産のガイ・ディーン副社長は、「持続可能でない魚を買うのをやめても他社が買ってしまった。基準を満たしたら買う、というポジティブな変化こそ有効」と経験を語った。
英コンパス・グループで世界のグーグル社員食堂への食材供給を統括しているヘレン・ヨーク氏は、持続可能な魚食のポイントとして、「食物連鎖の下位にある資源量の多い魚を選ぶ」、消費者に魚の魅力を伝えるために「シェフと協力する」などを挙げた。
ヘレン氏は、だしの基本が魚介類である和食が、サバやカツオなど水産資源に左右されることも示唆。他の登壇者も、魚種が多く部位や調理法にもこだわる日本と魚の関係の深さに言及し、先進事例の成功や失敗を参考にして「日本ならでは」の調達ルールを探ってほしいと口々に語った。
日本の小売を代表して登壇したイオンリテール食品商品企画本部水産商品部の松本金蔵部長は、11月21日に開店する「イオンスタイル板橋前野町」に、MSC・ASC認証品を集めた「FishBaton(フィッシュバトン)」という常設コーナーを設けると発表した。
「ロマンを持たないと社内に浸透していかない。消費者にも商品に認証シールを貼っただけでは伝わりづらかった。ロゴマーク(ファミリー層向けのFishBatonロゴ)を使い、最終的にはプライベートブランドとして調達も一元管理したい。2020年に向けて、売り場を変えて本気で伝えていく」と意気込みを語った。
シーフードレガシーの花岡和佳男代表取締役社長は、「寿司を発信した国なのだから、国際的な関心が日本に集まる2020年に、持続可能な魚食を世界に示したい」と話し、日本がサステナブルシーフードのリーダーシップをとることを提案した。