オルタナ総研統合報告書レビュー(48):鴻池運輸

記事のポイント


  1. 鴻池グループのビジネスモデルは請負業×物流業である
  2. 主力事業が自動化と人手不足で失われかねない危機に直面している
  3. インダストリー4.0の独で合弁会社を立ち上げ、「技術革新」で危機を乗り越える

鴻池グループは、「運輸」にとどまらず、顧客の生産工程を請け負う独自のビジネスモデルで地位を築いてきたが、主力事業が自動化と人手不足で失われかねない危機に直面している。突破口として同社が活路を求めた一つが「技術革新」だ。「インダストリー4.0(第4次産業革命)」の本丸ドイツで「勝てるツール」を開発し、危機を突破する戦略だ。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

鴻池グループは、鉄鋼、食品、飲料、生活、空港、メディカル、国際といった幅広い事業領域で、請負事業と物流事業を展開してきました。

同グループの事業の中核を担うのが、お客さまのバリューチェーンに深く入り込み業務を請け負う「請負業務」です。長期にわたる関係のなかでナレッジやノウハウを蓄積し、業務効率化やコスト削減につなげることで、単なる委託先にとどまらない深い信頼関係を築いています。

その根底にあるのが、同グループ統合報告書2025に記されている「ブランドプロミス」、すなわち「私たちの約束」や「企業理念」です。

「ブランドプロミス」である「私たちの約束」は、「期待を超えなければ、仕事ではない」と記されています。

「企業理念」である「私たちの使命」は、「『人』と『絆』を大切に、社会の基盤を革新し、新たな価値を創造します」と明確化されています。

一方、同グループのビジネスモデルである請負業×物流業の分野では、今後ますます深刻化する人手不足を背景に、自動化・省力化・機械化が急速に進むことが予想され、同グループは、主力事業が自動化と人手不足で失われかねない危機に直面しています。

突破口として活路を求めた一つが、「技術革新」であり、もう一つが「インド、北中米での海外事業拡大」です。

「技術革新」では、インダストリー4.0(第4次産業革命)の本丸ドイツで2025年4月、ドイツEPGグループとの合弁会社エアハート・コウノイケ・ソリューションズ・ゲーエムベーハーを設立し、「勝てるツール」を開発します。

EPGグループは、スマートな物流管理のためのサプライチェーン実行ソフトウェアの世界的なリーディングプロバイダーであり、倉庫管理システム(WMS)ソリューション、物流サプライチェーンと内部物流プロセスを最適化する関連ソフトウェアを製品化しています。

倉庫制御システム(WCS)、ボイスピッキング、地上ハンドリングソフトウェア、ルート計画(TMS)システムにおいて国際的なリーディングポジションを獲得しています。

鴻池グループは、ドイツの先端技術を実装する、物流業界における革新的なソリューションの開発・提供を目指し、新しいデジタル製品の開発および運営の卓越性と優れた生産性を備えた倉庫管理を行い自動化と人手不足に対応する戦略です。

2023年からは技術革新本部が、自動化やデジタル化、シミュレーションを軸に研究、開発し、現場での実運用へとつなげる役割を担っています。

今後の統合報告書では、技術革新本部や合弁会社による具体的な「技術革新」の進捗状況について情報公開を深化されたらいかがでしょうか。

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #サステナビリティ

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