記事のポイント
- ジャパン・プラットフォームは設立25周年記念シンポジウムを開催した
- パネルディスカッションでは、人道支援の方向性の課題を論議した
- 「資金不足の深刻化」「ニーズの増大と複雑化」「危機対応から人間の安全保障への支援の変化」が課題だ
ジャパン・プラットフォームは1月21日、都内にて、設立25周年記念シンポジウムを開催した。パネルディスカッションでは、政府、企業、NGO、アカデミアの代表者が、人道支援の方向性の課題を論議した。課題は、「資金不足の深刻化」「ニーズの増大と複雑化」「危機対応から人間の安全保障への支援の変化」だ。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

特定非営利活動法人(認定NPO法人)ジャパン・プラットフォーム(東京・千代田)は、コソボ紛争の経験を教訓に、NGO、経済界、政府の対等なパートナーシップのもと、2000年8月に発足した日本の緊急人道支援の仕組みである。
平時より、NGO、経済界、政府および多様な支援者が、国内外の自然災害による被災者、紛争による難民・国内避難民に迅速かつ効果的に支援を届けるプラットフォームである。
25年間に66の国・地域において、総額967億円、2400事業以上の人道支援を実施した。
政府からのODA資金、6000社超の企業や団体、のべ10万人以上の個人の寄付に支えられ、2017年度以降の年間平均支援者数は200万人以上にのぼる。
各得意分野を持つ45以上の加盟NGOを様々な形でサポートしながら、緊急人道支援のプロフェッショナルとして、支援を必要とする人々のニーズに根ざした活動を展開している。
一方、グローバル視点で人道支援の課題を見ると、資金不足の深刻化、ニーズの増大と複雑化(紛争、気候変動)、支援の方向性の変化という課題に直面している。より迅速で地域に根ざした、費用対効果の高いアプローチが求められている。
資金不足の深刻化に関しては、2025年3月初め、アメリカ国際開発局(USAID)が所管するアメリカの対外支援プロジェクトの75%に相当する約1万件の対外資金援助が突然中止された。その後、USAIDは事実上解体され、米国務省の管轄下に入った。
USAIDの援助に拠り活動をしていたNGOは、活動の中止を余儀なくされ、新たな財源探しに奔走している。
ニーズの増大と複雑化では、紛争の長期化、気候変動による自然災害の激甚化で、人道支援のニーズは増え、複雑化している。
アフガニスタン、南スーダン、イラク、シリア、イエメン、ミャンマー等で紛争が長期化している。
自然災害は2025年、モザンビーク北部サイクロン、ミャンマー中部地震が発生している。
支援の方向性の変化は、「人間中心のアプローチ」と「人道と開発の連携」である。
「人間中心」のアプローチとは、支援を受けるコミュニティのニーズや文化を重視し、彼らの能力の活用を示し、「人道と開発の連携」は、危機対応だけでなく、復興・復旧支援(人間の安全保障)への視点も強化することだ。
例えば、外務省が行うカンボジアの地雷処理の例は、地雷を処理した土地を農地に整備したり、学校建設を通じ、「質の高い教育をみんなに(SDGs目標4)」 の達成を目指している。
東ティモールでは、基幹産業であるコーヒー産業の復興と持続可能な生産を支援のため、
JICA、NGOピースウィンズ等とともに、コーヒーの木の老朽化と土壌の栄養不足(窒素分が少ない)問題を解決するため土壌管理の改善を行っている。
パネリストの西崎寿美外務省国際協力局審議官NGO担当大使は、「人道支援は、未来のローカライゼーション、経済再生であり、その主役は企業やNGOの皆さんだ」と述べた。



