記事のポイント
- 環境NGOが、衆院選に臨む11政党の気候変動・エネルギー政策を分析した
- 与党・自民党は火力発電と原子力を活用する方針を示す
- 中道改革連合は原発再稼働を容認するなど、自民への対立軸を示せなかった
特定非営利活動法人「気候ネットワーク」(本部:京都市)は1 月29日、第51回衆議院議員総選挙(2月8日投開票)に臨む11政党の気候変動・エネルギー政策に関する分析結果を発表した。与党・自民党は火力発電や原子力の活用を前提とした政策を維持。一方で、中道改革連合は火力に関する方針を明示せず、原発の再稼働を容認するなど、自民への対立軸を示せていないことが浮き彫りになった。(オルタナ副編集長=長濱慎)

分析は「パリ協定1.5°目標と整合した温室効果ガス削減目標」、「石炭火力発電」、「火力発電の水素・アンモニア混焼」、「再エネ」、「脱原発」の5項目について、25点満点で行った。
1月27日公示・2月8日投開票という短期間で政策を十分に作り込む時間がないことを踏まえ、最新のマニフェストだけでなく過去の政策も参考にし、表のような結果となった。

■ 自民党:「火力・原発」路線を維持
自民党は、「非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めていく」一方で、水素・アンモニア混焼、CCS(CO₂回収・貯留)によって引き続き火力発電を活用する方針だ。
原子力についても再稼働を進めるとともに、次世代革新炉の開発・設置に取り組むと明記した。政府が掲げる2040年の電源構成で原発を約20%と位置づけるエネルギー基本計画とも整合し「原発の活用」を前提とした政策といえる。
連立与党の日本維新の会も火力や原子力の活用を掲げており、自民党と近い立場にある。
■ 中道改革連合:火力は空白、原発は容認
立憲民主党と公明党を母体とする中道改革連合は、曖昧さが目立つ結果となった。石炭火力の廃止や削減、水素・アンモニア混焼についての記載がなく、火力発電に対する方針を読み取るのは難しい。
原子力については「将来的に原発に依存しない社会を目指しつつ」としながら、条件付きで再稼働を認めるなど事実上の容認となった。強力な推進はうたっていないものの、結果として自民党が進める「火力+原発」路線に対し、明確な対立軸を示すには至らなかった。
こうした曖昧な方針しか打ち出せなかった背景には、政策を練る時間が十分になかったことに加えて、政党の成り立ちそのものが影響しているとみられる。
中道改革連合の母体となった立憲民主党は、2011年3月の東京電力福島第一原発事故を受けた民主党政権の流れをくみ「原発に依存しない社会」を掲げてきた。一方で、公明党は条件付きで原発を容認する立場を取ってきた。
スタンスの異なる両党の合流により「早期のカーボンニュートラル」といった抽象的な表現にとどまり、与党と正面から向き合う姿勢を示せなかったのだろう。
■ その他の野党:火力・原発で二極化
その他の野党については、れいわ新選組と日本共産党の2党が再生可能エネルギー100%を目標に、石炭火力の早期廃止や原発ゼロを明確に掲げ、パリ協定1.5度目標と整合的な削減経路を示した。
一方で、国民民主党、参政党、チームみらいは、火力や原発を認める立場を取った。
■世界の潮流と逆行した日本の政策
気候ネットワークによる今回の分析は、日本の主要政党のエネルギー政策が世界的な脱炭素の潮流からかけ離れている現実を改めて浮き彫りにした。
石炭火力については2030年代の廃止が世界的なコンセンサスになり、その延命策とされる水素・アンモニア混焼についても温室効果ガスの削減効果が限定的との批判が強い。
原子力についても、建設コストの高騰、事故時の被害が甚大であること、使用済み核燃料の最終処分問題といった課題が山積みだ。再エネのコストが急速に低下する中で、経済性においても競争力を失いつつあり「斜陽産業化している」との指摘も少なくない。
今回の衆院選は、日本のエネルギー政策を根本から問い直す機会に他ならない。



