記事のポイント
- 2025年、EUでは太陽光・風力発電が化石燃料による発電を初めて上回った
- 再エネ拡大で、EUの電力セクターの排出量を過去20年で半減した
- 加えて、再エネの拡大で、化石燃料の輸入コストの大幅削減も実現した
エネルギーシンクタンクの英エンバーの報告書によると、EUは2025年に初めて、太陽光・風力による再エネ発電が化石燃料を上回った。EUの電力セクターは、再エネ拡大によって、過去20年で排出量を半減させており、化石燃料の輸入コストの大幅な削減も実現した。世界中で再エネ発電への移行が進む中、日本は、この脱化石燃料に流れに大きく後れを取っている。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

英国の気候エネルギーシンクタンクのエンバーは1月22日、報告書「欧州電力レビュー2026」を公表した。それによると、2025年、EUの太陽光・風力による発電は30%となり、石炭・石油・ガスといった化石燃料による発電(29%)を初めて上回った。
エンバーは、昨年10月に公表した別のレポートで、2025年上半期に中国・インドがけん引する形で、世界全体の再エネ発電量が化石燃料による発電を上回ったと報告している。
参考記事:世界の再エネ発電量が初めて石炭を抜く、主役は中国とインド
EUだけで見ても、1年を通して再エネが化石燃料を上回っており、2025年がグローバルの電力の歴史的な転換年となることはほぼ確実だ。
■EU加盟国の半数超で、再エネが化石燃料を上回る
太陽光・風力発電のここ数年の成長はめざましい。EUではわずか5年前の2020年、太陽光・風力発電の全体に占める比率は20%だった。それが2025年には30%に達した。
またEU加盟27か国のうち、半数を超える14か国で、太陽光・風力による発電量が化石燃料による発電量を上回った。
具体的には、スウェーデン(2010年)、デンマーク(2015年)、ルクセンブルグ(2017年)、リトアニア(2022年)、フィンランド(同)、ポルトガル(2023年)、スペイン(同)、オーストリア(同)、フランス(同)、ベルギー(同)、ハンガリー(2024年)、ドイツ(同)、クロアチア(2025年)、オランダ(同)の14か国だ。
再エネの中でも太陽光は4年連続で20%超の成長を続けた。2025年の太陽光発電による供給量は過去最高の369TWhとなり、EU全体の13%を占めた。
太陽光だけで石炭や水力発電の比率を上回る。スペイン、オランダ、ハンガリー、ギリシャ、キプロスでは、自国の電力供給の2割以上が太陽光発電となった。

(c) Ember
■石炭火力は「ほぼ終焉を迎えつつある」
一方、化石燃料に関しては、石炭火力発電が急速に減少し、報告書は「ほぼ終焉を迎えつつある」とまとめた。10年前にはEUの発電量の約4分の1(24.6%)を占めていたが、2025年には9.2%にまで縮小した。
EUで石炭火力による発電比率が5%未満になった国は19か国に上る。また報告書は、過去10年間の石炭火力発電の減少分が、ガスやその他化石燃料の増加で補われてはいないと指摘する。
EUの電力セクターによる排出量は、化石燃料から再エネへのシフトが進んだことで、過去20年間で50%減少した。欧州グリーンディールに後押しされる形で太陽光・風力発電設備が拡大したことで、排出量の削減だけでなく、化石燃料輸入コストも大幅に抑制された。
EUでは他国にエネルギー供給を依存していることの懸念が高まっている。再エネが化石燃料を上回ったことは、EUにとって「重大な転換点」と、報告書の執筆者であるベアトリス・ペトロビッチ氏はコメントした。
「地政学が不安定化している中で、化石燃料への依存がもたらすリスクは非常に大きい」(ペトロビッチ氏)
2025年には、EU域内での晴天と降雨不足により、水力発電量が12%減少したため、ガスの発電量が前年から8%増加した。EUではガス発電は全体の17%を占めた。なお、原子力発電の割合はEU全体の23%を占めた。



