記事のポイント
- 民間調査で、2025年の「農業」の倒産が過去最多を更新したことが判明した
- 背景には、肥料や飼料の高騰や、猛暑による不作・品質不良などがある
- スマート農業導入事業者でも民事再生法の申請に至り、構造的な課題が浮き彫りに
企業信用調査を手がける帝国データバンク(東京・港)の発表によると、2025年の「農業」倒産は過去最多を更新した。背景には、肥料や飼料の高騰に加え、猛暑による不作や品質低下がある。「スマート農業」の先駆的存在として知られ、最新技術を駆使した経営に取り組んできた事業者も、25年12月に民事再生法の適用を申請した。コスト上昇分を価格に転嫁できない構造的な課題が浮き彫りになっている。(オルタナ編集部・川原莉奈)

農業を取り巻く経営環境は近年、急速に厳しさを増している。
帝国データバンクによると、2025年に発生した農業の倒産件数は、前年比7.9%増の82件に達し、過去最多となった。
業種別にみると、「野菜作農業(きのこ類の栽培を含む)」が28件と最も多い。猛暑や豪雨による野菜の不作や品質低下が販売価格の下落を招き、収益性の悪化につながったことが、倒産増の一因とみられる。
「米作農業」は過去最多を記録した2024年から1件減少し、5件となった。猛暑による米不作の影響はやや落ち着いたものの、代表者の病気・死亡に伴い、事業継続を断念する企業もあった。
「肉用牛生産業」は2024年から5件増加し8件となった。物価高の中、豚肉や鶏肉に比べて高価格帯である牛肉の需要が伸び悩んだことが背景にあるとされる。
さらに、最新技術を駆使した「スマート農業」にも影響が及んでいる。太陽光利用型設備を用い、国内最大級の菜園を運営していたサラ(岡山県笠岡市)は、25年12月に民事再生法の適用を申請した。
設立5年で黒字化を達成していたが、猛暑による生産量の伸び悩みや設備投資の負担が経営を圧迫し、最終的に負債額は約157億円に膨らんだ。
業種を問わず、倒産増加の背景には、農業特有の経営構造がある。販売価格が市場価格に左右されるため、肥料や飼料のコストが上がっても、その分を価格に反映しにくい。物価高や異常気象が常態化する中、持続可能な農業のあり方が改めて問われている。



