■女性社員で開発チームを発足

龍泉洞の水は長い年月を経て、豊かなブナの森や石灰岩層による天然のフィルターでろ過され、天然のミネラルを豊富に含んでいる。また軟水と硬水の良い所を併せ持った珍しい水でもあり、「一口飲むと3年長生きする」と長年岩泉町民に親しまれてきた。この水を使った化粧水なら、地元の人に受け入れてもらえる。

山下欽也・岩泉乳業代表取締役社長(岩泉産業開発代表取締役社長を兼務)は、社内の女性社員で構成する開発チームを発足させた。これまで意思決定は、社長自らがし、社員がゼロからモノ作りに関わることがなかった。今回、同社として初の試みだった。

大澤澄子専務をリーダーとし、女性4人と日本ゼトック社の女性2人でチームが動きだした。

「岩泉に暮らす人に愛用してほしい。年齢や性別に関係なく、家族みんなで使える、安全、安心なモノを目指した」と、大澤専務は商品に込めた思いを語る。

「ひとりのユーザー」として使い心地を徹底追求。日本ゼトック社からの提案のもと、サラリとした質感で保湿力の高い化粧水に。ボトルにもこだわり、スクリュー型のキャップではなく、朝の忙しい時にも片手で開けられる設計になっている。無添加処方なので、安心して使える。こうして「龍泉洞の化粧水」は誕生した。

■いざ市場へ

そして6月25日。「龍泉洞の化粧水」は、岩泉乳業が主催する地域イベント「岩泉ヨーグルト工場まつり」で販売のスタートを切った。まずは地元・岩泉から。今後、町内の道の駅やホテル、インターネットでの販売を通じて、地元以外に届ける準備も整いはじめている。もちろん将来的には、全国販売を目指している。こちらに関しては、既存商品の拡販を担当していた岩泉産業開発が担当する。新たな商品を流通するにあたり、営業も強化していく予定だ。

当日、予想を上回る販売数に、開発を担当した大澤専務は「無添加処方なので子供にも安心。家族で気軽にバシャバシャと使ってほしい。女性だけでなく男性の髭剃り後の肌にもおすすめ。ぜひ継続して使ってほしい」と自信をのぞかせた。

目の前でどんどん売れていく様子を目前に、日本ゼトックマーケティング企画開発部大谷浩淑部長は「岩泉の人たちの龍泉洞や地域に対する思いの深さを感じた。地域に愛される商品として、今後の販売の大きな手応えを得た」と、町民の熱気に驚いた様子で目を輝かせていた。

RCFは今年度、岩手県から事業を受託し、「いわて三陸復興のかけ橋プロジェクト」に取り組む。東北復興をきっかけに発足した同団体は、中長期的な地域振興や県外企業との協働事業を推進するための、ステークホルダー同士のマッチングや情報発信などを行う。本コラムでは、実際に岩手で企業と地域が連携している事例や、持続的な地域づくりに取り組む地域団体などを紹介していく。

<岩泉ホールディングス>
岩泉町の第三セクター4社を子会社化し、地域経済の発展を狙い、新たな雇用の場の創出や更なる産業振興を目指す。三セクの持株会社化は全国で初めての事例。

従来の事業運営に加え、今回の化粧水開発を皮切りに、各社の特長を生かした新たな商品企画や、新規事業などにも取り組むという。

ホールディングス内事業会社▽牛乳や岩泉ヨーグルトなどの乳製品製造販売業「岩泉乳業」▽特産品製造販売、道の駅やふれあいらんど岩泉の経営管理を行う「岩泉産業開発」▽キノコなどの製造販売を手掛ける「岩泉きのこ産業」▽龍泉洞温泉ホテルを経営する「岩泉総合観光」。

◆いわて三陸復興のかけ橋「復興トピックス」

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