都会の水辺で青く輝く生きもの2題

 

■私たちに身近な生物多様性(22)[坂本 優] 

チョウトンボ

チョウトンボは、ほぼ全身が紺青のトンボだ。東京都心でも、夏、東京港野鳥公園の観察小屋から高い確率で観察することができる。陽射しの強弱、光線の反射角度によって、しっとりとした濃紺から、光り輝くメタリックブルーまで、様々な青の色合いの変化を見せてくれる。

紺青色のチョウトンボ ( 撮影地:東京港野鳥公園 )
紺青色のチョウトンボ ( 撮影地:東京港野鳥公園 )

観察小屋に限らず、園内の広場や水田、池周辺の歩道沿いでも蝶のように舞う姿を眺めることができる。しかし野外では黒い影のようにしか見えないことがむしろ多い。青く輝く姿を観察するには観察小屋の中から、近くの草やスイレンの葉に停まるのを待って、双眼鏡や拡大可能なカメラのレンズ越しにじっくり見るのがお勧めだ。

折れた茎の先端など比較的見つけやすい場所によく停まり、飛び去っても、しばらくするとまた同じ場所に戻ってくることが多い。

私自身そうだったが、図鑑に描かれているような青いトンボのイメージを持っていると、飛んでいる姿からチョウトンボと気づくのは難しい。詳しい人に同行して教えてもらえば、蝶のように舞う姿から、と言ってもチョウよりだいぶ高速で、比較的見つけやすいが、知らない同士だと、身近にいても黒い影程度の印象で、見過ごしがちなトンボだ。このコラムの写真を見て、こういうトンボがいたのか、とご覧になる方も少なからずいらっしゃるのではないか。

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坂本 優(生きものコラムニスト/環境NGO代表)

1953年生。東京大学卒業後、味の素株式会社入社。法務・総務業務を中心に担当。カルピス株式会社(現アサヒ飲料株式会社)出向、転籍を経て、同社のアサヒグループ入り以降、同グループ各社で、法務・コンプライアンス業務等を担当。2018年12月65歳をもって退職。大学時代「動物の科学研究会」に参加。味の素在籍時、現「味の素バードサンクチュアリ」を開設する等、生きものを通した環境問題にも通じる。(2011年以降、バルディーズ研究会議長。趣味ラグビー シニアラグビーチーム「不惑倶楽部」の黄色パンツ (数え歳70代チーム)にて現役続行中)

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