本作はこうした、実態を知らない善意のみの寄付がいかに当事者にとってありがた迷惑であるかを、多くの実例を用いて明らかにしています。
今日のグローバルな寄付が、支援を必要としている国や地域の自給力を奪い、むしろ貧困を温存することになっていしまっている皮肉な状況を変えるべきだと本作は伝えています。
問題は具体的にはどうするべきなのでしょうか。ひとつは自助努力を潰さないようにそれを支援していく方法だと思われます。
本作を観て「未来を写した子どもたち」というドキュメンタリー映画を思い出しました。そこでのキーワードは「寄付より雇用を」です。
その「未来を写した子どもたち」という映画は、Kids with CamerasというイギリスのNGOのプラグラムがインドのカルカッタの売春宿で生まれた子供たちにカメラの使い方を教えるドキュメンタリーです。
このNGOはたんに貧しい子供にカメラを与えるだけでなく、その撮り方を教育し、子どもたちの目線で売春宿の日常を撮影してもらい、欧米で写真展を開催し、その利益を子どもたち自身に還元するという方法を採用していたのです。
ようするに学ぶことの面白さを教え、子どもたち自身の努力でよりよい未来を作らせようという試みなのです。支援にはこういう視点が必要なのではないかと思います。
「寄付より、雇用」を映画制作で