阿蘇の広い空の下で作るからこそ「うちのシャツ」 

「gogaku」のシャツ。胸元をエレガントなドレープが覆う

阿蘇市商工会の協力を得て補助金を獲得し、TRAILERの旗艦店La ZONEを開店した時に、商工会側から「阿蘇から何か面白いことが発信できないか」と相談があったという。そこですぐに思いついたのが授乳服だった。

 gogaku」の提案は、昨年3月に熊本県の「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に基づく経営革新計画」の認定を受けた。「経常利益」の伸び率など、経営指標による目標設定が認められ、政府系金融機関による低利融資や信用保証の特例など、幅広い支援措置を利用することが可能になった。

 「自分のやりたいことをやるために、外注はしない」と決めていた吉田さんは、店から10キロほど離れた場所に生産工場を建てた。現在2名が働いている。「阿蘇はうちのシャツを作るロケーションとして必要です。神戸に居たままだったら、狭い雑居ビルで『小さく』作っていたかもしれません。大きい空の下で作るから、うちのシャツなのです」と吉田さんは胸を張る。

 阿蘇に憧れ、まず熊本市で地盤固めし、3年前に阿蘇にやってきた。その一年後に店を開いている。「古民家を改装しましたが、その時資金が無いにも関わらず、工務店の社長が『お金が無ければ借金も返せないよ』と、先に店を作ってくれました。店が無かったら色々なことにトライできなかったです」と吉田さんは振り返る。

 大家さんが取り壊すつもりだったというその古民家の、斜めになった梁と壁を修復してしばらく経った20164月に、最大震度7を記録する「熊本地震」が起きた。当時、店で寝起きをしていたが、幸い耐久性を考慮してリノベーションしていたため、大事には至らなかった。

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