障がい者雇用率2.2%引き上げのポイント

障害者雇用納付金制度には、法定雇用率が未達成である企業が納付金を納める「障害者納付金」(以下「納付金」)と、法定雇用率を超えて障がい者を雇用している企業に対して支給される「障害者雇用調整金」(以下「調整金」)があり、「納付金」と「調整金」はいずれも、常用雇用労働者が100人を超える企業が対象となっている。

納付金は月額50,000円×不足人数(ただし常用雇用労働者の数が200人以下の企業は、納付金の額が月額40,000円に減額。*2020年3月31日までの特例)

調整金は、常用雇用労働者数が100人を超える企業のうち、法定雇用障がい者雇用数を超えて障がい者を雇用しているときに、その超えて雇用している障がい者数1人につき月額27,000円が支給される。

詳細は、以下のページを参考にしていただきたい。

<独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」>
http://www.jeed.or.jp/disability/koyounoufu/about_noufu.html

「納付金を納めることによって雇用が免除されるのではない」

企業の雇用相談に対応していると、「弊社は納付金を納めることで対応したいので雇用はしない」と堂々と言われるご担当者がいるが、納付金を納めることによって、法定雇用率達成義務が免除されるわけではないため、誤解のないように説明する場面が多くある。

障害者雇用納付金は罰金ではなく、納付金を支払っても雇用義務を免れるものではなく、引き続き障がい者雇用をする努力をするようにという考え方であり、雇用率が未達成の状況が続くと、ハローワークなどから障がい者雇用率達成指導が入ったり、社名公表の恐れもあるため、事前に準備をしておくことをおすすめしたい。

・まとめ

平成30年4月からの障害者雇用促進法の改正に伴い、障がい者法定雇用率の引き上げについて説明してきた。障害者法定雇用率が引き上げられるのは、精神障がい者の雇用が義務化され、障がい者雇用率の算定基礎に精神障がい者が加わるという背景からである。

また、納付金の対応により義務が果たされるわけではなく、「共生社会」の実現のためにおのずと雇用計画が必要になってくる。しかし、企業と障害のある方が安心して雇用を進めていくためには、それなりの準備が必要となるため、早めに近隣の関係機関等(詳細は過去のコラムを参照いただきたい)に相談されることをお勧めしたい。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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