ラジオで被災者と震美術に想いを寄せて

一人の市民としてラジオ放送に関わる

私は2年ほど前から岐阜市の市民(コミュニティ)ラジオ、てにておラジオで自分の番組を持って番組企画をし、公開収録をしていただいている。収録は岐阜市にある図書館を有する複合施設、メディアコスモスのスペースをお借りして実施している。(名古屋女子大学非常勤講師=三輪 昭子)

メディアコスモスの斜め正面から撮影

市民ラジオと言えば、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本大震災などの大地震に被災した地で、被災者たちにその後の日常生活になくてはならない生活情報や支援情報を伝えたり、被災者に寄り添うことが目的で開局してきた。

私が番組企画、収録している「てにておラジオ」は被災地ラジオではないが、防災に役立つ何かをしていきたい気持ちは会員の皆が持っている。そういった市民ラジオの存在や、私が会員となっている「てにておラジオ」そのものの活動については別の機会に譲るとして、今回は自分自身の番組企画と放送に関連して、自分自身の「気づき」について述べたい。

映画番組を企画する中で

私の企画運営する番組は、映画に関するものだ。タイトルを「キャッチームービー」と自ら名づけた。キャッチームービーというのは、私の造語であるが、英語でcatchy movies、すなわちキャッチー(catchy)な、もっと言えば「人を惹きつける」映画について毎回一つの映画を選び、それについて独断を含めながら一般的情報を聴取者に知らせる番組である。

通常、番組構成は、映画についての情報、その魅力、背景情報について約11分程度語り、その後は今日の一曲ということで、映画に関連する曲を流す。この1曲は時間調整に利用され、語りが多すぎると流れる曲の長さは短くなる仕組みとなっている。私はオリジナルサウンドトラックの曲から、それを選ぶようにしている。映画の臨場感を高めようとする自分なりの工夫である。また、公開収録時に聴きに来て下さる人たちが、話題に接近しやすくするためにフリップを数種作成する。

さて、前回の私の番組収録は3月11日であった。そう、この日は忘れもしない、あの東日本大震災の起きた日である。その日に選んだ映画は「シン・ゴジラ」である。1954年に第1作が制作され、それから29作目に当たる作品である。

ラジオ収録の様子

私は、ある一つの想いをもって当日「シン・ゴジラ」について語った。それは日本が経験した大事を受け止め、対応し、未来の社会を想像(創造)しようという意欲を持っている人たち、あるいはその指針づくりができる人たちの出現である。
新しい世界を構想し、そこに進められる心意気があれば、私たちの住む日本が私たちの本当の居場所となっていくはずだという祈りである。その祈りは、心を癒し、まだ居場所を得られない日本人がたくさんいる気配を感じて続けられる行為である。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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