■持続可能な社会を目指す電力会社

今回のドイツでの視察は、自然エネルギー100%を供給する電力会社「グリーンピース・エナジー社(以下、GPエナジー)」を訪問することが目的の一つでした。GPエナジーは、電力自由化後のドイツで、自然エネルギー100%の電力会社が欲しいという市民とグリーンピースのキャンペーンから生まれたクリーンな電力会社で、その電源構成は、持続可能な水力と風力で自然エネルギー100%を達成しています。この夏に世界が経験した異常気象を悪化させる石炭などの化石燃料、そして次世代へ負の遺産を残し続ける原発の電気は一切調達していません。

グリーンピース・エナジー社のスタッフ (c) Christine Lutz / Greenpeace Energy

私が特に感激したのは、GPエナジーは、エネルギーだけではなく、暮らし全体の持続可能性を推進しているところです。たとえば、社員が長く満足して勤められるよう(つまり社員が持続可能であるように)、オフィスではオーガニックのりんごが提供されたり、ヨガレッスンが無料で行われ、さらに、自転車通勤を推奨するための補助金制度を設けているなど、いろいろな取り組みがされています。

社員の好みに合わせて、蛇口からでる水を、冷水、常温水、炭酸水に切り替えて飲めるのには驚きました。GPエナジーの社員たちは、イベントなど日常で行えるエコな行動を顧客に伝え、知識を行動に変えるためにどうすればよいかを日々考えているそうです。

■仕事と暮らしのバランスとは

もう1つ、GPエナジーの社員から持続可能性について教えてもらったことがあります。それは、父親の育児参加についてです。日本では「ワンオペ育児」という言葉が聞かれるようになりましたが、ドイツでは、育児手当のつく育児休暇が14カ月あり、それをパートナー間で分け合うことも少なくないそうで、父親の育児参加率は34%だそうです*1。

実際、子どもがいるGPエナジーの男性社員に育児について感想を聞いたところ、「素晴らしい経験だった」と話してくれました。彼は、保育園のお迎えのために夕方の4時には仕事を切り上げるため、それまで集中して仕事を行い、時間になったら颯爽と自転車で帰っていきました。また、街中では、ベビーカーを片手に、もう一方の片手でコーヒーを持ちながら朝の散歩をするお父さん2人組を見かけました。

これはほんの一例ですが、仕事と暮らしのどちらかを犠牲にしなくてはいけない社会ではなく、ほどよくバランスのとれた社会のためのヒントを垣間見た気がしました。

■持続可能な暮らしを実践する

海に流れるプラスチックボトル © Greenpeace

皆さんは、「持続可能な社会」と聞いて、何を思い浮かべますか。いま、空気を汚し、気候変動に拍車をかける化石燃料の問題や、プラスチックによる海洋汚染・生態系への影響が世界中で問題となっていますよね。とくに今年は、世界各地で異常気象が多発し、それによる影響がより深刻化した1年だったのではないでしょうか。

私は、解決策の1つとして「循環型の生活」がキーワードではないかと考えています。

たとえば、物を使い捨てる直線型の生活ではなく、誰かとシェアしたり、交換することやアップサイクル(より価値のあるものへリサイクルすること)し、物がめぐるような生活です。そもそも、買う量や使う量を減らしたり、長く使えるものを選ぶことも持続可能な社会のためには必要ですよね。

持続可能な社会をつくっていくために、私たちができることはまだ残されています。グリーンピースでは、地球の平均気温上昇を1.5度に抑えるために、温暖化の主原因である温室効果ガスを排出する石炭火力発電や、次世代へ負の遺産を残す原発から、自然エネルギー*2へ転換するために日々活動しています。

たとえば、自宅で使う電気を自然エネルギー中心のよりクリーンな電力会社に変えることで、自然エネルギーを増やしたい、という思いを形にすることができます。それと同時に、契約アンペアを下げて電気使用量を減らす「アンペアダウン」などの省エネを実践することもできることの1つです。皆さんも、電気(エネルギー)も生活もめぐる持続可能な暮らしのために、身の回りでできることを見つけてみませんか。

週末の青空のもと、ベルリンのあちこちで開かれたフリーマーケットの様子。洋服だけでなく生活用品や小物などが、カラフルに並んでいた (C)Greenpeace

*1: https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2016/08/germany_01.html
*2: グリーンピースでは、得られる利点と影響、他の発電方法との比較などを住民が中心となって議論し、どのようなリスク回避策(風車の騒音であれば住宅との距離を離すなど)が取れるのか、どのような影響(放射性廃棄物を生み出したり、原発事故のリスク、大気汚染、気候変動、健康や景観への影響など)であれば個人として、地域として、受け入れられるのかを住民主体で決めていくことができる自然エネルギーが普及していくことが大切だと考えています。

グリーンピース・エナジー社訪問についてまとめたブログはこちらからご覧いただけます。
ブログ:ドイツで見てきた市民がつくるエネルギーのかたち

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