「熱のFIT」で里山の保全を

ひと頃、一世を風靡した「里山資本主義」。NHKが番組にし、書籍もベストセラーになった。しかし、成功事例として紹介されたオーストリアの町ギュッシングのバイオマス発電所は、大幅な赤字を抱えて破綻したことはあまり知られていない。燃料の調達が難しくなったうえ価格が上昇して、経営が成り立たなくなったらしい。日本も同様だ。現在、バイオマス発電所が各地に乱立しているが、遠からず行き詰まるのは目に見えている。(田中 淳夫)

バイオマス発電が盛んになった理由は、FIT(固定価格買取制度)によって再生可能エネルギーによる電力を高く買い取るようにしたからである。しかし発電には莫大な燃料木材を消費するため、調達が困難になる。さらに日本の場合、燃料に未利用材や一般木材などの区分を作ったため、高い区分の木を求めて山を皆伐したり、安いヤシ殻を輸入したりと、本末転倒の事態が起きている。

この続きはオルタナ55号(「森を守れが森を殺す」)に掲載しております。

たなか・あつお 森林ジャーナリスト。1959年生まれ。主に森林・林業・山村をテーマに執筆活動を続ける。著書に『森と日本人の1500年』(平凡社新書)『樹木葬という選択~緑の埋葬で森になる』『鹿と日本人』(ともに築地書館)『森は怪しいワンダーランド』(新泉社)などがある。

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田中 淳夫(森林ジャーナリスト)

森林ジャーナリスト。1959年生まれ。主に森林・林業・山村をテーマに執筆活動を続ける。著書に『森と日本人の1500年』(平凡社新書)『鹿と日本人』(築地書館)『森は怪しいワンダーランド』『絶望の林業』(ともに新泉社)『獣害列島』(イースト新書)などがある。

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