違法漁業の巨大な損害、対策が急務

違法な形で漁獲されたイカの輸入が国際のイカ産業に及ぼす被害は、最大で470億円にも上る――。こんな試算を東京海洋大の松井隆宏・准教授らの研究グループが発表した。国際的に問題となっている「違法・無報告・無規制(IUU)漁業」の深刻さを示す結果だ。

イカを含めた全魚種のIUU漁業が日本国内の漁業生産に与える影響は最大で1700億円を超えるとの結果も得られ、松井准教授は「漁獲証明の義務付けなど、IUU水産物の輸入を規制する対策の強化が急務だ」とした。

研究グループは、日本に中国から輸入されるイカやコウイカの約45%、ベトナムからの輸入の約40%、タイからの輸入の約30%がIUU漁業からのものだとの過去の研究成果を基に、これらの輸入がなかった場合の国内のイカの価格上昇といった影響を考慮したコンピューターモデルを使って、輸入の有無による国内イカ漁業の収益の違いを算出した。

その結果は、違法、無報告漁業のイカの輸入品が国内産業に少なくとも年間243億円、最大だと470億円もの損害を与えているというものだった

※この続きは、オルタナ55号(全国書店で発売中)掲載のコラム「オルタナティブな空間」でご覧ください。

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井田 徹治(共同通信社編集委員兼論説委員/オルタナ論説委員)

記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

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