事実に基づいた「現状把握」が問題解決に導く

■トヨタNPOカレッジ「カイケツ」第4期第3日

トヨタ財団は6月13日、トヨタ自動車の問題解決手法をNPO向けに伝えるトヨタNPOカレッジ「カイケツ」を開き、現状の姿を客観的かつ定量的に認識する「現状把握」を行った。参加者は、ありたい姿(目標)と現状のギャップを明確にするために、データを持ち寄り、グループごとに議論していった。(オルタナ編集部=堀理雄)

BeU共同代表の小林暉さん(右端)と古谷講師(左端)。小林さんは、「当事者の周囲の環境が変わっていくことで、一人ひとりの個性が尊重される社会を目指したい」と話す

■職場の安心感をどう数値化するか

発達障害の傾向がある大学生をサポートする「BeU」は、「誰もが個性を最大限に発揮できる世の中へ」をビジョンに、定期的な当事者会の開催や講演活動、キャリア見学会などの活動を展開している。

共同代表の小林暉さんは、団体の方向性の見直しを検討する必要性を感じ、カイケツに参加した。小林さんは「当事者の困りごとに対応するということだけでなく、当事者の周囲の環境を変えていくことを重視し、一人ひとりの個性が尊重される社会を目指したい」と話す。

現状把握のディスカッションでは、活動の対象や社会的なニーズを明らかにし、それに応じた対応の検討を進めていった。

活動の対象としては、(1)当事者と(2)その周囲の社会環境という2つが考えられる。(2)のなかには例えば、就職先の企業側のニーズを踏まえ、適切に職場環境を整えていく存在が求められている。

元トヨタ自動車の古谷健夫講師(クオリティ・クリエイション社長)は、「企業など組織のなかで心理的な安全性を高め、自己実現の場を提供することは重要な課題。一方で、『個性が尊重される』という多様性をどう評価し、数値化するかが重要なポイント」と説明する。

ディスカッションの中では、社内の心理的安全性を数値化して業務改善に結びつける調査研究が参考になるとの意見も出された。小林さんはそうした点を踏まえ、「マイナスをプラスにしていく社会環境の拡大など目指す方向性を再検討し、組織のなかで共有していきたい」と話した。

古谷講師は「これまでの実績を生かしながら、事業内容をつくっていく視点が重要」とアドバイスした。

■ビジョンと業務の紐づけを

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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