「真因の追求なくして真の対策立案なし」

■決まった議題をどう遂行するか

現状把握の結果を説明する日本ケアフィット共育機の佐藤雄一郎さん(中央)

公益財団法人日本ケアフィット共育機構(東京・千代田)は、誰もが暮らしやすい共生社会を目指し、「サービス介助士」「防災介助士」「認知症介助士」の普及に取り組む。「おもてなし」と「介助」の資格「サービス介助士」では、車いす利用者の交通機関での介助や視覚に障がいがある人の手引、聴覚に障がいのある人への接客など、日常生活で実践できる接遇を学ぶことができる。

同法人の佐藤雄一郎さんは、「研修やコンサルティング、情報発信などさまざまな事業があるなかで、組織全体で情報を共有したい」という思いから、カイケツに参加した。

毎週開かれる会議で、事業や制度に関するさまざまなアイデアが出るものの、部署間で情報共有がうまくいかないこともあり、決まった議題を継続しきれないという課題を抱えていた。なぜ継続できなかったのか、一件一件、丁寧に現状把握を行い、さらに要因解析を進めていく。今後、会議で決議された議案が完遂できる状態にすることを目指す。

要因解析のワークショップを終えて、参加者からは「日々の業務に追われてしまうが、問題を解決するためにじっくりと真因を探っていきたい」「自分しかできないと思い、仕事を抱え込んでいたが、業務を『見える化』することで、ほかの人でもできることに気付いた」といった声が寄せられた。

トヨタ財団は2016年、社会課題解決の担い手であるNPOに問題解決力を身に付けてもらうことを目的に「カイケツ」を開始した。第4期は、さまざまな社会課題に取り組む20団体約30人が参加し、約6カ月間かけて問題解決の8ステップに取り組んでいる。

講師は、鈴木講師、細見講師のほか、トヨタ自動車業務品質改善部の古谷健夫主査、元トヨタ自動車でのぞみ経営研究所の中野昭男所長の4人が務めている。

次回(第5回)のカイケツは8月8日に開催され、問題を解決するための「対策立案」を行う。

 

<トヨタ自動車の「問題解決」の8ステップ>

1.テーマ選定:
解決すべき対象を決める。問題の重要性、問題が拡大傾向にあるか、問題の影響の大きさなど様々な観点から何を解決すべきか判断する。経営者の重要な役割。

2.現状把握:
現状の姿を客観的かつ定量的に認識すること。事実・データに基づいて伝えることがポイント。

3.目標設定:
何を、いつまでに、どのようにするのかを具体的に決める。マイルストーンを置いて、取り組みの経過を可視化する。

4.要因解析:
なぜを繰り返して、真因を探る。なぜを繰り返すことで、具体的な実施事項が出てくるので、論理的、合理的な解決策が期待できる。

5.対策立案:
対策内容を整理して、実行計画を立てる。5W1Hを明確にして、最も効果的と思われる対策案から手掛けていく。

6.対策実行:
計画通りにやりきることが大切。

7.効果確認:
対策内容への評価を行う。「対策をほとんど実施し、期待通りの成果が出た」「対策はほとんど実施したが、成果は得られなかった」、「対策はほとんど実施しなかったが、期待通りの成果が得られた」、「対策はほとんど実施せず、成果も得られなかった」の4つのパターンが考えられる。

8.標準化と管理の定着:
効果が出た対策の内容を標準化して、その後の取り組みに反映させていく。こうすることで、同じ問題の再発を防いでいく。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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