■方向の説明は時計の文字盤で

サービス介助士実技教習における、クロックポジションによる配膳の説明の実習風景

次にセルフサービスが増えることで利用が困難になることもあります。スーパーマーケットでは有人のレジであれば、店員さんとお客さんのやり取りの声を頼りにレジの位置が分かりましたが、セルフレジではその声がなく、場所がわかりにくくなりました。操作が困難との意見も聞きます。

銀行のATMはタッチパネル式が多いですし、ハンドセットと呼ばれる受話器のような形状をしている視覚に障害のある人やタッチパネルの使用が難しい人向けの押しボタン式操作機は、振り込み機能がついていないなど、利用に制限があったりします。

また、人が応対できる際でも、応対方法が適切でないと、困ることがあります。例えば、「あちら、こちら、そちら」などの指示語が多いと、どこにあるものを説明しているのか分かりません。

なお、テーブルに置かれた料理の位置などを説明する際は、時計の文字盤に例えて説明すると分かりやすいです。「12 時に焼き魚、3時にお吸い物、6時にお箸、9時にご飯があります」のように説明します。

視覚に障害のある人が抱えている生活の不便さは個人が抱えている障害だけが原因ではなく、少数派の存在を想像せずに作られた社会の仕組みや変化によっても生じていることを理解することで、できることがあればお手伝いをするという考えに繋がるのではないでしょうか。

また、「障害の社会モデル」の観点から視覚障害を考えると「いかに目が見えないことが困難か」ということではなく、「いかに視覚による情報伝達が主流になることで見えづらい人にとっての困難さを環境が生み出しているか」という考えに切り替えることができます。

そして、読者の皆さまで企画や制作物などに携わる方もいらっしゃると思います。

その際、「もしも見えづらい人が使うとなると」と、多様な人を想像しながら検討することで、これまでのアプローチとは違う訴求方法が思いついて、誰もが利用しやすいユニバーサルなサービスの提供につながることもあります。

※「サービス介助士」とは、主にサービス現場で障害のある人や高齢な人などが、何かお手伝いが必要な際に、さっとお手伝いができるように、基本的な介助技術を学んだ人で誰でも取得することができます

◆「障害」って何? 障害についての捉え方を考える

「障害」って何? 障害についての捉え方を考える

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