昨今の台風15号・19号や豪雨などによる甚大な被害を受け、そうした『異常気象』の背景にあると言われている気候危機に対する関心、そして邦銀が気候危機を悪化させる石炭火力発電事業に資金提供を続けることへの懸念が国内でも高まっていることを示していると言えます。

パリ協定に基づく1.5度目標達成のため、最も早急に着手すべきなのが、CO2を最も多く排出する石炭火力発電所の段階的廃止です。国連のグテレス事務総長も、2020年以降世界中のどこにも石炭火力発電所を新設出来ないと述べています。(注2)

同事業は、三菱商事の100%子会社と香港のCLP Holdings Limitedのジョイントベンチャーにより、総事業費22億米ドル(約2500億円)で600MWx2基を建設する計画であり(注3)、気候危機を加速することの他にも、現地で深刻な健康被害および人権問題が懸念されています。事業により影響を受けるコミュニティは、近隣にある既存の事業(製鉄工場とブンアン1石炭火力発電所:注4)を原因とする大気、水質、環境の汚染に現在も苦しめられているからです。

ブンアン2に融資検討中と言われている4行のうち、三菱UFJと三井住友信託は、それぞれ新規石炭火力発電事業への融資を制限する与信方針を採用して以来、本事業は初めての案件になる可能性があります。また、4行とも9月ニューヨークの国連本部で開催された国連気候行動サミットの前日、国連責任銀行原則(PRB)に署名し、「持続可能な開発目標(SDGs)およびパリ協定に事業戦略を整合させる」ことを約束しています(注5)。ブンアン2に融資を行うことは、銀行が自ら掲げた目標を反故にすることと同じです。

さらに、ベトナムでは再生可能エネルギーの価格が低下しており、ブンアン2を含む2020年以降に稼働となる新規石炭火力発電のコストは、再生可能エネルギーよりも高価になると言われています。

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