11月第4木曜日の翌日の金曜日に一斉セールをする米国発祥の「ブラックフライデー」に対し、フランスなどで批判が高まっている。消費促進は無駄なものを買わせてゴミを出し、環境を破壊するためだ。400の企業、NGO、公的団体で作る「グリーンフライデー」運動は、物を長く使うことを訴え、この日、修理セミナーなどを行った。国会に「無駄防止法」案を出した政府も、買い控えや捨てないで使い続けることを支援している。(在パリ編集委員=羽生のり子)

「ブラックフライデー」は2013年にフランスでも始まった。最初はネット販売が中心だったが、2014年に大型電化製品店やスーパーも始めたことから知名度が上がった。今ではデパートや小売店でも行なっている。2019年11月29日のブラックフライデーは、史上最高の5600万件のクレジットカード引き落としがあったほどの盛況だった。
一方で、「ブラックフライデー」は財布の紐を緩めて不要なものを買わせるという批判を浴びている。2014年の調査では、フランス人の3分の2が一度も着用したことのない服を持っており、6割が10着以上をタンスの肥やしにしていた。そして9割が「企業は消費を煽っている」と考えていた。
こうした背景をもとに2017年、「ブラックフライデー」に対抗する「グリーンフライデー」ができた。発案者は、慈善団体「エマウス」系の電気製品リサイクル企業「アンヴィ」だ。
2018年には、フェアトレード企業「アルテルムンディ」などの企業やNGOが「アンヴィ」に賛同し、パリ市の支援を得てNGO「グリーンフライデー」を立ち上げた。目的は、持続可能な消費のしかたを市民に考えてもらうきっかけを与えることだ。
参加企業や団体はこの日の売り上げの一部を慈善団体や市民団体に寄付したり、ものを直して使い続けることを教えるワークショップを開催。パリのリサイクルショップでは、NGO「修理カフェ」が場所を借りて、家庭電化製品など、市民が持ち込んだ器具をその場で無料で修理するイベントを開いた。

■「ブラックフライデー禁止」の法案も