菅首相は10月26日、所信表明演説で「日本は2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と表明した。これにより、日本のCO2(二酸化炭素)をはじめとする温室効果ガス削減の取り組みは大きな弾みが付いた。(「環境・持続社会」研究センターJACSES・事務局長=足立 治郎)

11月19日の衆議院と20日の参議院本会議は「気候非常事態宣言」を決議し、「この危機を克服すべく、一日も早い脱炭素社会の実現に向けて、わが国の経済社会の再設計・取り組みの抜本的強化を行い、国際社会の名誉ある一員として、それに相応しい取り組みを、国を挙げて実践していくことを決意する」と宣言した。

新型コロナ禍の出口が見えないなか、感染症対策と合わせた経済復興策は愁眉の課題だ。それに追われ、気候変動対策がおざなりにされることが危惧される中、首相の決意表明と国会決議がされたことはとても意義深い。

早速、2兆円規模の温暖化対応のための基金創設をはじめ、政府・民間セクターの取り組みが活性化し、報道も増えた。ただし、取り組みや報道の多くが「国内の脱炭素」に集中している傾向があることには、注意が必要だ。

菅首相が表明した、温室効果ガス排出ゼロの目標年は2050年であるが、それまでの30年間に、甚大な被害が生じる可能性も高い。こうした被害を防ぐには、温室効果ガス削減だけに集中しているわけにはいかず、被害を防ぐための気候変動への「適応策」の強化が不可欠だ。

気候変動の被害はまず貧困層/脆弱層に

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