持続可能性を追求する東京五輪の運営はレガシーになるか

東京2020大会が掲げる持続可能性の 5つの主要テーマ ©︎東京2020大会

東京オリンピック・パラリンピックの運営に関する「第18回持続可能性ディスカッショングループ」が1月26日、有識者も参加して開かれた。昨年3月に開催が1年延期されて以降、運営面では継続的に5つのテーマで持続可能性を追求して準備が進められている。新型コロナにより大きな修正を強いられ、開催を危ぶむ声も高まる同大会。組織委員会は大会運営をレガシーとすべく、延期期間を有効的に使い、開催後の社会に向けた取り組みを追求している。(寺町幸枝)

5つの主要テーマを掲げて準備

昨年開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックは、「Be better, together(より良い未来へ、ともに進もう。)」という持続可能性にまつわるコンセプトを掲げ、大会準備全体にサステナビリティに配慮した活動が続けられてきた。大会のスポンサーとなる企業にも厳しい規程が課せられ、国連が掲げる「SDGs」とも密接に関わったものとなっている。

本大会が掲げる持続可能な準備、運営に向けての取り組みとして、具体的には5つのテーマを掲げられていることを、どれだけ多くの人が意識しているだろうか。「気候変動」、「資源管理」、「大気・水・生物多様性」、「人権・労働」、「エンゲージメント」という5つのカテゴリーの中で、組織委員会の担当者レベルでは高い意識を持ち、「オリンピック・パラリンピックにとどまらず、その後に続くような取り組み」と位置付け、具体的な準備が進んでいることを知らない人は多いだろう。

例えば気候変動においては、カーボンフットプリント(C F P)への影響を把握し、大会期間の延長と新型コロナウイルス感染症対策によるC F Pの増加に対しての項目調査や、その算定を実施している。東京都と埼玉県の事業者に対して大会に関連するカーボンオフセットに向けてのクレジット提供を募集したところ、カーボンマイナスを実現できるほどの協力が得られたという。

大会準備では、選手村での段ボール製のベッドや、使用済み小型家電で作られたメダルなど、いくつか突出したアイテムが話題を提供してきた。一方で、会場となるお台場海浜公園の水質・水温対策などが問題になっている。開催が延長されたからこそ、しっかりと改善できている部分もあるという。この3月にリリースが予定されている「大会前報告書 追補版」に、その点が盛り込まれる予定だ。

「第18回持続可能性ディスカッションクグループ」の座長を務めるジャーナリスト・環境カウンセラーの崎田裕子さん ©︎東京2020大会

付いて回る新型コロナ対策

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寺町 幸枝(在外ジャーナリスト協会理事)

ファッション誌のライターとしてキャリアをスタートし、米国在住10年の間に、funtrap名義でファッションビジネスを展開。同時にビジネスやサステナブルブランドなどの取材を重ね、現在は東京を拠点に、ビジネスとカルチャー全般の取材執筆活動を行う。出稿先は、Yahoo!ニュース、オルタナ 、47ニュース、SUUMO Journal他。共同通信特約記者。在外ジャーナリスト協会(Global Press)理事。執筆記事一覧

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