――そのような経験があったのですね。起業した会社では社会性は意識してはいなかったのですね。
はい、とにかくお金を稼ぎたいという思いが強かったです。有名起業家の姿をテレビや新聞で見るにつけて、単純に憧れがありました。自分も近づきたいという野心で経営していました。
その頃よりどころにしていたのは、利益でしたね。そして、そこを強く追求した結果、いろいろなものを犠牲にしてしまいました。
当時は学生起業ながら、8億円程度の売り上げを出していて、マーケティングをうまくやっていれば十分と思い込んでいたところがあります。組織体制のことは頭になかったのです。当然、お客様や働く人のことを考えない経営は行き詰まり、5年後には倒産しました。
この経験から、どのような会社だと長く続くのか、を真剣に考えました。その答えはよりたくさんの人に貢献する会社、だと思っています。
世の中には解決していない社会課題や業界課題が山積みです。そういう課題に向き合い解決することで結果として会社が成長する。リジョブの代表を引き受けたときに、そんな会社を目指したいと思いました。
――28歳でリジョブの社長になってから、まず始めに取り組んだことは全社員との面談だったそうですね。
はい、当時は社員が80人程度で、平均年齢も25歳と若かったです。社長が変わっても残ると意思表示してくれた全社員のことをしっかりと理解しようと思いました。希望する働き方だけではなく、どのように育ったのか、趣味は何かなどプライベートのことまで話を聞きました。
社会に対する課題解決意識を持っているメンバーが本当に多くて、なかには、「介護施設にいる祖母が、トイレに行けず膀胱炎になってしまいました。だから、介護業界の人不足をなんとかしたいです」と訴えてきた社員もおりました。