「利益の前に社会課題」、リジョブ社長のCSV経営

――具体的にはどのようにして働き方の多様化を推し進めていきますか。

働き方を多様化するためには、美容師のスキルを可視化する必要がありました。よく勤続年数でその美容師を評価する傾向にありますが、それだけで本当に正しく評価できているのでしょうか。そこで、新たな指標を用いて、美容師の活躍度合いを測定できるようにしたいと考えたのです。

この考えに基づき、2019年末には、サロン向けの集客支援・予約システムを運営する株式会社リザービアをM&Aしました。リザービアのシステムを使えば、美容師一人当たりの施術単価や支持されている顧客の年代や属性、満足度などが測れます。

例えば、ご家庭の事情などで、週に1日しか働けないという美容師でも、リピーターがいることがデータとして可視化できていれば、雇用する側も雇いやすくなります。繁忙期にスポットで入ってもらうようにすれば生産性も上がります。

美容師のスキルをITで可視化して、働き方の多様化を促進する 写真:Ben Yamaguchi

――可視化することが難しい技術職をお客さんの声によって数値化しようという試みですね。いつ頃から本格的な導入を考えていますか。

施術データは、サロンのものであり個人のものでもあります。特定の個人が、どのような施術をしたのか分かるようにデータを持ち出すことはNGなので、POSに貯まったデータを「20代、女性」など個人名が分からないようにラベリングして集めます。

美容師のスキルを可視化するまでには、2年はかかると思います。このデータがマーケティングに活用できるようになったときに、美容師の働き方の多様性は格段と加速すると思っています。

――リジョブでは社会課題を事業で解決するCSV事業にも力を入れています。社会性を意識するようになったきっかけは何でしょうか。

実は20歳のときに創業した会社を25歳で倒産させた経験があります。この経験から、企業が社会的意義を持つべきだと強く感じました。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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