サーキュラーエコノミー、「技術立国日本」の落とし穴とは

記事のポイント


  1. 日本は西欧列強の先進技術を積極的に取り入れ、国を富ませることを国是としてきた
  2. しかし、「技術立国日本」の発想は今後も通用するのだろうか
  3. サーキュラーエコノミーの実現には、多様な要素をつなぐ共創の仕組みが重要だ

オルタナ85号:論考・サーキュラーエコノミー(32)

明治維新の「富国強兵、殖産興業」以来、日本は西欧列強の先進技術を積極的に取り入れ、国を富ませることを国是としてきた。そのお陰もあって、国は大いに栄えた。

戦後も積極的に先進技術を海外から取り入れ、自国でも新たな技術を開発することで高度経済成長を実現させた。約15年にわたって実質経済成長率が約10%におよぶという、いわば「奇跡」を起こしたのだ。

この頃からだろうか。日本人に要素技術優先の発想が表れるようになった。それは「技術立国日本」という表現にも如実に表れている。

欧米諸国が作ってくれた競争市場で、日本の優秀な技術によって生産された品質の良い製品をより安く売れば、ビジネスとしては大成功である。大手新聞をはじめとするマスコミも、新しい技術、革新的な技術の紹介には余念がない。

だが、この発想は今後も通用するのだろうか。従来からあった要素技術でも新たな使い道、新たな組み合わせによってそれまでとは全く異なった機能を果たすことがある。

アップルのPC、マックがその例である。ICTも単独の要素技術だけでは利用価値はなく、世界の中の多くの要素をつなげる仕組みがあってこそ生きてくるのであり、大きな付加価値を生み出すのだ。

動脈ビジネスでそうなのだから、静脈ビジネスではなおさらだ。何せ動脈経済と違って従来型の競争市場ではサーキュラーエコノミーは実現しないからだ。

多様な要素をつなぐ共創の仕組み作りが必要なのである。リチウムイオン電池やプラスチックの革新的リサイクル技術が開発されても、それが「仕組み」の中で生かされないと、使われない技術に終わってしまう。静脈ビジネスで「技術立国日本」だけでは、とてもやっていけないのだ。

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細田 衛士(東海大学学長補佐、政治経済学部経済学科教授)

東海大学学長補佐、政治経済学部経済学科教授。1953年生まれ。77年慶応義塾大学経済学部卒業後、同大学経済学部助手、助教授を経て、94年より教授。2001年から05年まで同大経済学部長を務めた。中央環境審議会委員や環境省政策評価委員会委員なども歴任した。

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