「2025年、日本・中国・韓国は観測史上、最も暑い夏だった」と世界気象機関

記事のポイント


  1. 2025年、アジアでは日本、中国、韓国が観測史上最も暑い夏を記録した
  2. 猛暑に加え、アジアは豪雨、洪水、干ばつによる経済的・人的損失も大きい
  3. 世界気象機関は、早期警報と連携した早期行動の重要性を強調する

世界気象機関(WMO)は6月17日、報告書「アジアの気候状況2025」を公開した。アジアでは2025年、日本、中国、韓国で観測史上最も暑い夏を記録したほか、アジア全域で豪雨・洪水、干ばつが人的・経済的に大きな被害をもたらした。今後も異常気象の激化が予測される中、WMOは、「早期警報・早期行動」が重要だとして、深刻なサイクロン被害に遭ったスリランカと、洪水被害の大きかった中国・四川省での対応事例からその有効性を強調した。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

世界気象機関(WMO)は「アジアの気候状況2025」を公開した

■猛暑と豪雨がアジアを襲う

報告書は、アジアの温暖化スピードが世界平均より速いペースで進行していることを示す。1991年から2025年までの温暖化の傾向は、1961年から1990年までの温暖化傾向の約2倍となっている。

アジアの温暖化傾向(オレンジ)は、世界平均(灰色)より速いペースで進行している。
1991年から2025年までの温暖化トレンドは、1961年から1990年の期間の約2倍に

2025年のアジアは、観測史上2~4番目(使用するデータによって異なる)に暑い年となったが、日本、中国、韓国では、観測史上最も暑い夏を記録した。

中央アジア、西アジアの一部、アラビア半島でも長期にわたって熱波に見舞われた。カザフスタンでは、3月、4月、6月、7月に気温が平年より最大14℃上昇した。バーレーンでは、40℃を超える日が10日間連続で記録された。高温乾燥と強風は、韓国で記録を開始して以来最大規模の山火事が発生するなど、アジアでも大規模な山火事の発生を見た。

また2025年は、南アジアの大部分で平年を上回る降水量を観測し、熱帯低気圧による異常な豪雨によって、パキスタン、スリランカ、ベトナムなど多くの国で壊滅的な洪水を引き起こした。

パキスタンでは、モンスーンによる洪水により1,000人以上が死亡し、300万人以上が支援を必要とする事態となった。ベトナムでは、モンスーンや連続した豪雨に起因して長期にわたる洪水が発生し、少なくとも200人が死亡し、19億米ドル(約3045億円)の経済損失が発生した。

一方、イランなど西アジアおよび中央アジアでは、平均を下回る降水量と長期にわたる乾燥状態が続き、深刻な干ばつで水不足となった。また4月中旬には西アジアの広範囲を襲った激しい砂嵐が、交通、健康、経済活動に影響を及ぼした。

■海面水位の年間上昇幅は、世界平均を超える

1990年代以降、増加傾向にある海洋熱量は2025年に過去最高を記録した。海洋熱波はアジアのほぼ全域の海域に影響を与え、2025年7月から9月にかけて、中国や米国の面積を上回る規模の1000万平方キロメートル以上が影響を受けた。海洋の温暖化と酸性化が続き、海洋生態系と沿岸地域社会にとってますます大きなリスクとなっている。

アジア地域の海面水位も、1999年に衛星観測を開始して以来、最高水準に達した。1999年から2025年にかけて、インド洋北部の沿岸地域の大部分で、海面上昇幅は世界平均の年間約3.6ミリメートルを上回った。インド沿岸では年間約4.9ミリメートル、黒潮海流域では年間6ミリメートル以上に達した。

氷河に関しても、平均を上回る気温と平均を下回る積雪量によって、2025氷河年(2024年10月~2025年9月)には、チベット高原を中心とするアジア高山地域でモニタリング対象となっている全23の氷河の質量が減少した。氷河の融解は、海面水位や地域の水循環に影響を与えるほか、氷河湖決壊洪水(GLOF)などの地域的な災害の発生にもつながりうる。

■スリランカでは国土の5分の1が浸水した

WMOは、早期警報システムと連携した早期行動の重要性を強調する。そして報告書の中で、2025年にアジアで発生した2件の異常気象を例に、その被害状況と、早期警報システムの有効性を教訓とともに紹介する。

一つ目の事例は、2025年11月25日から29日にかけて、サイクロン「ディトワ」に見舞われたスリランカの例だ。人口約2300万人の同国全土で、約1割に相当する推定230万人が被害に遭った。

5日間にわたる連続降雨で河川は氾濫し、スリランカ全土で1200件超の土砂崩れが発生した。わずか24時間で、年間平均降雨量の1割に相当する雨が降り、その結果、死者数は646人、行方不明者数は183人に上る。避難を余儀なくされた約23万3000人が、1500カ所の避難所に身を置いた。避難所のほとんどは学校だという。

国土面積の20%が浸水し、1万ヘクタールの水田が全滅し、15万ヘクタール超の水田が被害を受けた。家畜も1万頭以上が死亡した。

インフラ網への打撃も大きい。約72万棟の建物、6000キロメートル以上の道路が洪水の被害を受けた。全長1593キロメートルの鉄道網は、多くの箇所で断絶され、稼働しているのは約3割の478キロメートルだけだ。橋梁の損壊は35基、学校も1300校が被害を受けた。

生活者の55%が停電に見舞われた。経済損失はGDPの約4%に相当する約41億ドル(6572億円)に上った。

スリランカを襲ったサイクロン「ディトワ」
(c) MODIS Imagery from NASA's Aqua Satellite, Public domain, via Wikimedia Commons

■サイクロン上陸前に6万人が避難した
■中国・四川省の洪水は地域住民全員が夜中に避難

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北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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キーワード: #気候変動

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