記事のポイント
- 米インディアナ州ゲーリー市議会は、日鉄に石炭高炉の廃止を求めた
- 同市はUSスチールの主力ゲーリー製鉄所からの汚染や健康被害に直面している
- 日鉄のゲーリー製鉄所改修計画に対し地元は抜本的な製鉄方法の転換を求めた
米インディアナ州ゲーリー市議会は2026年7月21日、日本製鉄ならびにUSスチールに対し、老朽化した高炉の廃止とDRI(直接還元鉄)技術への投資を求める決議案を全会一致で可決した。USスチールのゲーリー製鉄所は米国内最大規模の重要拠点だが、石炭を使う高炉からの有害物質で、地元住民は汚染や健康被害に長年悩まされてきた。日鉄は、高炉の「改修」計画を発表したが、地元はグリーンな製鉄方法への抜本的な転換を求めた。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

ゲーリー製鉄所前にて2026年6月28日のシカゴ・トリビューン紙を掲げるGARDのメンバー
(写真提供:GARD)
米USスチールの主力製鉄所を擁するインディアナ州ゲーリー市議会は2026年7月21日、日本製鉄ならびにUSスチールに対し、老朽化した石炭高炉の廃止とDRI(直接還元鉄)技術への投資を求める決議案を全会一致で可決した。
USスチールのゲーリー製鉄所は、同社の主要拠点だが、石炭を使う高炉からの有害物質で、地域住民は長年、汚染や健康被害に悩まされてきた。日鉄がUSスチールを買収した2025年6月に地域団体が開いた記者会見では、地域の惨状を訴えながら、環境改善のための投資を日鉄に期待する声が多く聞かれた。
「ゲーリー製鉄所が1世紀以上にわたって有害物質を排出してきたことで、インディアナ州北西部は、米国や世界の汚染の震源地に変わってしまった。この地域の5歳以下の死因の最大要因が大気汚染であることが、ユニセフの報告書でも明らかになっている」と、地域団体ジャスト・トランジション・ノースウェスト・インディアナのスーザン・トーマス政策・報道ディレクターは指摘した。
USスチール買収当時、ゲーリー製鉄所に対しては、31億米ドル(約5075億円)の投資が約束された。しかし日本製鉄が2025年12月に発表したのは、ゲーリー製鉄所の第14高炉を総額3億5000万ドル(約572億円)で改修するという決定内容だった。
その一方で、米アーカンソー州ビッグリバー製鉄所に対しては、石炭を使わないDRIプラントをつくる投資計画を発表した。
ゲーリー市議会の決議は、ビッグリバー製鉄所でのDRIへの投資に触れながら、日鉄およびUSスチールに対して、ゲーリー製鉄所向けの残りの投資資金を、ゲーリー市で初となるDRI設備の設置とDRIで高級鋼材を製造するために必要な設備に充てることを求めた。

(写真提供:GARD)
地域の環境改善に取り組む市民団体GARDのドリーン・ケアリー代表は、ゲーリー市議会での決議を受け、「日鉄およびUSスチールには、大幅な汚染削減と同時に地域で高賃金な雇用の長期的確保を実現する、歴史的な好機が訪れている」とオルタナにコメントした。
「しかし、そのためには石炭高炉からDRIへの移行が必要だ。それが果たされない場合、ゲーリー市の住民は今後も汚染に苦しむことになり、製鉄所は汚染という負の遺産を残したまま、最終的に閉鎖されることになるだろう」(ケアリー代表)
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