GX・石炭・アンモニア、「G6対日本」の対立構図が鮮明に

記事のポイント


  1. 4月15-16日に札幌市でG7気候・エネルギー・環境大臣会合が開かれた
  2. 化石燃料の廃止期限やアンモニア混焼などを巡り、日本とG6の対立が鮮明に
  3. 環境NGOからは日本の「リーダーシップ欠如」を批判する声も

札幌市で開かれていたG7気候・エネルギー・環境大臣会合が共同声明(コミュニケ)を採択し、4月16日に閉幕した。化石燃料の廃止期限やアンモニア混焼、GX政策を巡って、日本とG6の対立構図が浮き彫りになった。国内外の環境NGOからは、議長国である日本のリーダーシップ欠如や、GX政策は「グリーンウォッシュ」だと批判する声も出ている。(オルタナ副編集長=吉田広子)

化石燃料の段階的廃止へ、天然ガスも対象に

コミュニケでは、IPCC第6次評価報告書統合報告書を受け、「2035年までに60%削減(2019年比)することの緊急性が高まっている」と言及した。

「1.5度目標との整合性」も強調し、再生可能エネルギー拡大の数値目標を明記した。具体的には、2030年までにG7合計で洋上風力発電能力を150ギガワット増加すること、太陽光発電を1テラワット以上に増やすことを示した。

電力部門の脱炭素化については、2022年のG7(ドイツ)ですでに「2035年までに電力供給の全て、あるいは大部分を脱炭素化する」と合意していた。今回のG7では、段階的廃止の対象を、それまで石炭に限定していたところ、天然ガスなどを含めた「化石燃料」に拡大した。

環境NGOは、こうした前進を歓迎する一方で、問題点を指摘している。

その一つが、化石燃料の廃止期限だ。各社の報道によると、欧州とカナダが石炭火力発電所の廃止時期の記載を求めていたが、日本の反対で明記されなかった。

WWF(世界自然保護基金)ジャパンは、声明のなかで、「電力部門については2035年までに『完全または大宗(大部分)』の脱炭素化とするにとどまった。これはすでに2022年の同会合コミュニケで示されたものを繰り返したに過ぎない。電力部門については、本来は『大宗(predominantly)』という表現を削除して、『完全』な脱炭素化とすべきであった」と指摘した。

会合に出席したカナダのスティーブン・ギルボー環境・気候変動大臣は、国際環境NGOグリーンピースの出身だ。カナダは2016年時点で2030年までに石炭火力発電を廃止することを表明している。

同氏は、「カナダにとって2030年の石炭火力フェーズアウト(段階的廃止)ほど緊急なものはない。1.5度シナリオと整合的な石炭火力フェーズアウトへのG7のコミットメントを歓迎する」とのコメントを発表している。

■「水素・アンモニア混焼」に各国が疑問符

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yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #脱炭素

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