検証CCS: GXの切り札に危うい「潜在コスト」

記事のポイント


  1. 経産省はGXの切り札として「CCS(CO2の回収・貯蔵)」の本格導入を目指す
  2. しかし、CCSを導入する際の最大の課題は「コスト」だ
  3. 普及するには、「使う側の採算」が問われる。CCSを検証した

経産省はGX(グリーントランスフォーメーション)の切り札として「CCS(CO2の回収・貯蔵)」の本格導入を進めるが、最大の課題はそのコストだ。1トン当たり最大2万円と見積もるそのコストは、日本のカーボンクレジット市場で取引される市場価格相場の4倍に及ぶ。普及には「使う側の採算」が問われる。(オルタナ輪番編集長=池田真隆、北村佳代子、オルタナ副編集長=京正裕之)

「CCS」とは、「Carbon dioxide Capture and Storage」の略で、CO2の回収、貯留を意味する 画像:日本CCS調査株式会社

「回収・輸送・貯留のコストは下がるかもしれないが、CCSのコストは火力発電に掛かるコストも含めて見るべきだ。火力発電の燃料費が加わると経済合理性が出るはずがない」――。環境政策に詳しい龍谷大学政策学部の大島堅一教授は、CCSの経済性に根本的な疑問を投げ掛けた。

■「CCS単体」ではなく「火力発電全体」で考えるべき

経産省は、CCSコストについて、技術革新や設備の大型化、輸送網の整備によって大幅に低下すると試算する。しかし、大島教授は「CCS設備だけを切り出して議論すること自体がミスリーディングだ」と指摘した。

CCSは火力発電所や製鉄所などから排出されるCO2を回収する技術であり、その前提には化石燃料の利用がある。さらに、CO2の回収設備は大量のエネルギーを消費するため、発電効率も低下する。

大島教授は「回収・輸送・貯留のコストだけを見れば将来的に下がる可能性はある。しかし、火力発電というシステム全体で見れば、再生可能エネルギーと競争できる経済合理性は期待できない」と言い切った。

加えて、高性能な設備でもCO2回収率は概ね90%程度にとどまり、設備によっては50%程度しか回収できないケースもあるという。「CCSを利用しても必ず回収し切れないCO2が残る。CCSだけでカーボンニュートラルを達成できるわけではない」と大島教授は強調した。

■漏えいリスクと「誰が責任を負うのか」
■代替手段が確立された電力分野でなぜCCSなのか
■海外でもコストと安全性に疑問の「声」相次ぐ
■世界のCCS、その多くは石油増産と一体に
■削減ポテンシャルは「最後の手段」

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #CCS#脱炭素

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