プラスチックごみに囲まれたカワセミたち

このように目に付く物以外にも、目に見えないプラスティック廃棄物は多い。むしろこの方が人間を含む生きものに深刻な影響を与え得るとも危惧されている。

それらは、私たちの日々の営みの中か排出されているものが少なくない。洗顔料の洗浄効果を高めるため、かつては直径0.5ミリ以下の微細なプラスティック粒子「マイクロビーズ」が盛んに使われた。

その規制が始まったのは私の知る範囲では2014年2月以降ニューヨーク州などでの取組みが皮切りだった。

今も化学繊維の衣類を洗濯する都度、排水とともにさらに細かい、マイクロプラスティックファイバーとも言われるプラスティックのくずが排出されている。

一般家庭でも1回の洗濯で数万個単位のマイクロプラスティックファイバーを排出することがあると聞く。

ナノレベル以下の微細なプラスティックは人間を含む生きものの体にも取り込まれてしまう。その影響の解明はまだ始まったばかりだ。

マイクロプラスティックまで考えたとき、廃プラスティックの問題は気の遠くなるような難題だ。だがあきらめるわけにはいかない。

少なくとも今日ご紹介した写真のような、目に見えるプラスティックごみを無くすことができれば、環境に排出されるプラスティックの総量は劇的に減る。そのことは解決のための研究や対策の時間を稼ぐことにつながる。

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坂本 優(生きものコラムニスト/環境NGO代表)

1953年生。東京大学卒業後、味の素株式会社入社。法務・総務業務を中心に担当。カルピス株式会社(現アサヒ飲料株式会社)出向、転籍を経て、同社のアサヒグループ入り以降、同グループ各社で、法務・コンプライアンス業務等を担当。2018年12月65歳をもって退職。大学時代「動物の科学研究会」に参加。味の素在籍時、現「味の素バードサンクチュアリ」を開設する等、生きものを通した環境問題にも通じる。(2011年以降、バルディーズ研究会議長。趣味ラグビー シニアラグビーチーム「不惑倶楽部」の黄色パンツ (数え歳70代チーム)にて現役続行中)

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